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「一所懸命さと気合と礼儀だけでも良しとしよう」

我が家が住む地域は田舎で、小学校も児童数が少なくて参加する様々な競技も、ほとんど児童を総動員しないと試合が成立しないほどだった。

なので運動神経があまりない長男も否が応でもサッカーのメンバー登録をさせられた。
(前記事の“部活”というのは、サッカー練習のことだったのだ)
いや、一応任意なので決して強制ではなかったのだが、周りからの同調圧力をまったく感じないほど私は鈍感ではなかったので、多少嫌がる長男を「できる分だけでいいから」などと、いろいろ言い包めて参加させたのだった。

そういうわけでどうにかサッカーのメンバーとなった長男が試合に出るというので、家族そろって応援に行った。正式な試合はこれが二度目。
一度目は私が仕事だったため見に行けず主人と次男が見に行った。
この時はちょうどお休みだったので、初めての観戦であった。
もちろん、いつものことだが長男の大活躍など期待はしていないし求めてもいない。

それでもなんだかんだ言いながらも、気持ち期待しながら見に行った。

あいにく雨の天気予報が当たり、しだいに雲行きが怪しくなったかと思ったら、ちょうど試合中に土砂降りの雨。
見ている方も大変だけど、サッカーコートをビチャビチャになりながらボールを追いかけている彼らは、泥水ですべって、なかなか思うように走れなかったりボールを蹴れなかったりと、泥で汚れながらも頑張って試合を続けた。

この年本格的に学校の部活として、新たなチーム編成で夏休み前後から始まった練習。
チームとして一年目の、バリバリの新人チームである。
相手となるほかの学校のチームに、経歴も人数も、もちろん技術もすべてに劣ってはいるが、気合と礼儀だけは負けなかったね。

先生たちも試合中、個人個人の名前を呼びながら激を飛ばして指示。
応援の保護者たちも、「いけ~!攻めろ~!」と必死に応援。
三チームと対戦してどれも大量点数を入れられ、残念ながら大負けしたのだけど、でも一回目の試合を見た主人や先生たちに言わせれば、この試合ではけっこう進歩しているらしい。

まだまだボールに食らいつく必死感が弱いところ、一つの動きから次の動きにうつるスピード感が弱いところ、間近でのボールの奪い合いでは気力で負けているところなど、見直す点はいっぱいある。
長男もまだまだ積極性に欠けているところを先生に指摘されていた。
やや臆病な部分を直さないとね。

でも表彰式が終わって、上位チームはさっさと手荷物をまとめに帰っていくのに、長男たちは先生の指導が徹底しているのもあって、この試合の責任者の方々とグラウンドに向かって一礼して「ありがとうございました!」と挨拶をして帰ったのだった。

思わず「ありがとう!先生!!」と心の中で叫んだ。
技術は練習すれば上達するかもしれないけど、やはりこういう礼儀は丁寧に教えていかないと身につかないよね。

いつか懇談会で、先生たち自ら「この学校の子どもたちはとても素直でいい子たちばかり」とおっしゃっていた。

教師側と教え子側が、お互いの信頼関係の強さで示してもらえる貴重な場面だった。


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