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「となりの芝生」

全国的に寒いのでは、というほどの年。次男、三年生の冬である。

その寒さが原因なのか、きちんと手洗い・うがいをしていなかったからなのか、次男が週初めから咳がひどく、火曜日には熱を出し、火・水・木曜と三日間学校を休んでしまった。
なんとか金曜日は熱もさがり元気も出てきたので、どうにか登校。

その前の日曜日、部屋を閉め切って友だちと暴れながら遊んでいたので、てっきり埃を吸ってアレルギーで咳が出たのだと思い込んでいたら、火曜日の朝から病院に連れて行くと38℃熱が出ており、風邪との診断を受けたのだった。

でも、当時流行っていたノロウィルスではなさそう…。
ムカムカするって言っていたけど咳のしすぎでのことで、実際にしょっちゅうもどすってわけじゃなかったし。

で、学校では普段から同じ班の子どもたちが、欠席した子にお手紙を書いて近所の子に手渡すように先生が指導されているようで、今回次男が休んだ三日間、お手紙と宿題のメモが届けられた。

宿題はかろうじて内容がわかるのだが…なにせ小学三年生の男の子が書くメモ。
雑だし、肝心なところが抜けていたりする。ま、なんとか想像でわかりましたよ。

お手紙だが、だいたい「早く良くなってね」とか、「元気?」とか自分の好きな絵とかテキトーに書いてあったりする。名前を書いていない子もいたりして、「いったい誰が書いたんだよっ!?」って、変に突っ込んだりしながらおもしろがっている。

そんな中、一人の男の子が書いてくれた手紙は

「○○くんへ
今日理科の時間に砂鉄集めをしたよ。○○くんがいたほうが楽しくなったと思うよ。
体はおだいじに。
明日は、バネッサ先生がくるから早く体をなおして来てね。 △△より」

その日学校でやって一番印象に残った出来事、気配りなどが書かれていて、かな~~り優等生な手紙である。
はあ~~…こういう手紙が、そこ何分かでさらっと書けるなんて、その子どもの親御さんがうらやましい。

もしうちの子が他のお友だちに手紙を書くことになっても、ここまでのことは書けないと思う。(断言!!)
こんなに気の利いた文章は絶対に書けるような奴ではない。
おまけに、字も一番読みやすいときてる…。

うちの次男は、他人のことや周りのことにほとんど興味を持たない。
だから、状況を見て判断するという能力もさることながら、他人の気持ちを察するとか、せめて他人のマネをしながらでも生活能力を鍛えて学習するとか、向上意欲を高めるとか、そういうことを全くしない人間である。

ましてや、このような人に気配りを見せたり、気の利いた言葉も使い分けられない、いや、言葉やセンテンスを知らないと言った方がいいかもしれないな。

とにかく、うちの子供はこう育てたい…と思っていたことは、他の親がやってしまっていて、自分の理想の親子像に最近程遠くなってきている気がする。

どうしても自分の子どもには辛い点数をつけてしまいがちだが、それにしても本当に次男には先が思いやられる、いったいどうなるんだろうと不安でしょうがない。
それでもかわいいところもあるんだけど、最近その部分もフォローがきかなくなっているしね。
「大器晩成」であるのならば、その土台をそろそろ固めておいていただきたいものだわ…。

しおり23

この日記を書いてから、すでに十数年を経ている。
当時から不安視していた次男の性格・生き方はまだまだ気になるばかりで、早く一人前の大人へと変貌を遂げてくれることを願っている毎日。

なかなか親の思うようには、簡単に子どもって育たない。
難しい。
自分が果たして一人前なのかもよくわからないのに、息子に高みを望むのもいったい自分は何様だ!と思うのだけど、それでも親の欲はそうそう無くならないのであった。
隣の芝生ばかり気になってしまう未熟な親である。


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