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ああ、ヒヨコ。

最近、ずいぶんと暖かくなってまいりましたね。けれども、朝晩の冷え込みはすさまじく...うちの猫様、あずさくんことあっちゃんも、まだ朝晩は私の毛布の上にどかっと寝ておいでになるので、私は上半身を布団から丸出しで寝るという失態をおかし、風邪ひきました。
皆さまも猫様にはくれぐれもお気をつけて。
そんな感じで、ふとヒヨコを飼っていた記憶が蘇ってきたので、記してみようと思います。

このヒヨコ、昔はお祭りの屋台で「ひよこ釣り」なるものがあったもので、そのヒヨコでした。大きくなったら卵産むんだと信じていたのですが、残念ながら、オスだった模様。
しかしながら、このヒヨコ。立派な鶏になる前に、忽然と姿を消したのであります。

釣って帰って来た当初、黄色くてふわふわで、小さくて、あたたかくて、まだ小学1年生だった私は、そんなに命というものに、重さも尊さも感じてはいなかったように記憶しております。
それでも両の手にのる、そのヒヨコは可愛くて、ただただ大好きでした。
何度か仔犬(この頃はすごい犬派で、猫が苦手でした。なんだか猫は子供ながらに手に負えないような気がしておりました)を拾っては怒られ、捨てに行く、を繰り返していたので、ヒヨコは渋々飼うことを許されたので、ものすごく、嬉しかったです。

庭に生えてる草を与えたり、手にのせたり、眺めたり。小学生の私はそれなりに触れ合っておりました。
けれども、ヒヨコの成長は早い!あっと言う間に、なにやら顔つきが凛々しくなってきて、かわいい感じだった嘴はシャープに!そして色も黄色がだんだんと薄まり、白っぽく。足も伸びて来たし、首も伸びてきました。頭からトサカらしきものが生えてきたのも覚えております。
そう、かなり、凶暴な感じへとメタモルフォーゼし始めたのです。

なんかこいつら、こわっ!!!

と、思ったものです。あ、2匹飼っておりました。
あーあー、鶏になっちゃうなー、と少し悲しくもありました。それでもまだ、ヒヨコの面影を残しておりました。

ある朝、起きたら、そのヒヨコが、居なくなってしまいました。

2匹とも、忽然と姿を消したのです。

え?なんで?昨日まで元気にビョッビョッ言ってたやん?と。首を傾げ、母にヒヨコがおらんなった!と報告すれば、しれっと、蛇が呑んだんだろう、と言われました。
いやいやいや、結構、デカかったよ?蛇なんかが2匹も丸呑みに出来るものかや?と、子供ながら母の返事に疑問を覚えました。
ケージ(ダンボールに蓋したやつ)は壊れてない。一切、暴れた様子もなく、猫ならきっと、いっぱい羽が落ちるだろうと思われたので、猫ではない。犬でもない。...そう、蓋の隙間から侵入出来るのは、蛇しかいなかった為に、疑問ながらも、消去法で、犯人は蛇、と。
無理やり納得するほかありませんでした。

大人になっても、あのヒヨコ消失事件は謎のままで。
ある日、近くの土手に散歩に行った時のこと。畑に鶏が放し飼いにされていたのをみて、ヒヨコ消失事件をふと思い出し、母にそういやさー、と話たところ。

早朝に、ばあちゃんと2人で、土手の鶏に紛れさせた。

とんでもねー話をし始めたのですよ。

ああ、ヒヨコは死んでなかったんだね。

めでたし、めでたし。

よくもまあ、長いこと騙してくれちゃってまあ!と思ったのを思い出しました。
そんなことしたらあかんやん!と思いましたが、もう時効だ!ということで許してください。
母にしてみたら、鶏を食べるわけにもいかず、たいそう困ったんだろうなと、今なら思います。
かわいいだけで生き物を飼ってはいけない、それを思い知る出来事は数え切れない程あり、今の私が造られてきたのだろうと、思う今日この頃です。

自分の命じゃない、なにかの命を預かっている、今現在。いつから猫派になったのかは覚えては居ませんが、今一緒に居てくれる、猫のあっちゃんが楽しい生である事を祈りつつ。
たまに喧嘩しつつ。
漫画家になれることを夢みつつ、今を生きている次第です。

ああ、ヒヨコ。
お前、ニワトリにはなれたのかい?

#ニーフリ #つぶやき #思い出 #ヒヨコ #謎 #エッセイ #昔話

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