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【お料理】 鶏と唐芋の薩摩煮 (調理時間:20分)

・鶏肉とさつまいもの食感の違いを楽しめる煮物。
・先にさつまいもを炒めることで、甘さが増す。
・いろいろなアレンジも可能。

お料理は本当に不思議なもので、どんな人に教えてもらっても、完璧にはその人の味になることはなく、自分の生まれ育った土地や自分に料理を作ってくれていた人の味の要素が入ります。

これは、私が料理のいろはを少し教えた方が作ってくれた一品で、「あ、この人には敵わないな」と思わされたお料理です。
まず、私自身がさつまいものような硬い素材を油で炒めるという行程をしたことが無く、煮物は全て出汁に放り込んでゆっくり味を染み込ませていく作り方を常としていたので、さつまいもという素材の甘さを最大限に引き出す行程を自然とやっていたことはその方の料理のセンスというしかありません。

私が住んでいる九州でも、北と南では大きく味付けが違います。南九州の味付けはけっこう甘いです。
これを作ってくれた方も、鹿児島出身だったので、自然とそういう味になったのでしょう。
それで、このお料理を「鶏と唐芋の薩摩煮」と名付けました。
今回は、教えてもらったことに忠実に、所々私なりに工夫したところを入れながら書きました。

☆材料はこちら

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・鶏もも肉
・さつまいも
・絹さや(緑のもの)
・出汁
・酒
・みりん
・濃口醤油
・砂糖

鶏肉はもも肉がおすすめです。
焼くと縮むので、チキンライス用より少し大きめに切っておきます。皮は苦手でなければそのまま入れた方が旨味が出て美味しいです。
だいたい唐揚げ用のもも肉を半分ぐらいに切ればちょうどよいと思います。

さつまいもは細めのものがおすすめです。
皮付きで輪切りにして水にさらしておきます。ピーラーでしましまにすると、切った時かわいいということだったのでやってみました。

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鶏肉とさつまいもの分量は、鶏肉:さつまいもが、だいたい1:2か2:3ぐらいの比率が良いようです。

鶏肉を炒めていきます。
もも肉からもたくさん脂が出るので、鍋にひっつかないように少しだけ油をひいて焼いていきます。
後で煮込むので、しっかり焼く必要はありませんが、皮目はしっかり焼けている方が美味しいです。

私は何度作っても、作ってくれた方のように、煮込んだ時に鶏肉にこっくりとした甘さを乗せられなかったので、苦肉の策として鶏肉をみりんでフランベする方法を取りました。
もちろんこれをやらずとも美味しく作れます
※周りに燃え移りやすいものを置いたり、顔を近づけたりしないでください。

さつまいもも炒めておきましょう。
これがこのお料理では鍵となる行程だと思います。煮込むだけでは出せない、さつまいもの本来の甘さが強まり、鶏肉と合う味になるのです。

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さつまいもの表面が黄金色に変わってきたら、具材を煮込んでいきます。
出汁を入れて一煮立ちさせ、浮いてきた脂と灰汁を取ります。

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落ち着いたらいつもの方法で味付けをしていきます。
酒・みりん・お醤油を入れて、アルコール分を飛ばし一度味見をします。
お醤油とみりんはしっかり入れた方が、このお料理は美味しいと思います。

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その後、お砂糖で甘さを決めていきます。ちょっと甘めが美味しいのかな。
味付けが決まったら、絹さやを入れて、さつまいもが柔らかくなるまで弱火で煮込んでいきます。

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お皿に盛り付けて出来上がりです!

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さつまいもと鶏肉の分量のバランスを先に書きましたが、食べる時に「おいもさん、おにく、おいもさん」の順番が心地いいという理由です。
確かに、さつまいもの優しい甘さが柔らかな鶏もも肉に移り、幸せな気持ちになります。

さらに、この煮物の2日目のアレンジレシピもあるということで教えて頂きました。
これに大根おろしを入れて、みぞれ煮にするのです。小鍋に移して温め直すときに、たくさん大根おろしを入れます。

正直なところ、「さつまいもと大根おろしが合うの!?」と思っていたのですが(ごめんなさい)、2日目になるとさつまいもにもだいぶ味が染みて濃くなっているので、それが逆に大根おろしのさっぱりとした辛味と合うのだと気づきました。
これは本当におすすめです。

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料理に年齢やキャリアは関係ないのだと気付かされた一品でした。
自分の表現したい味を自然に、そして丁寧に引き出し、食べたときの感覚や見た目も楽しみながらお料理するという、一種の天才を見た気がします。

お料理をやっていても、その中で得意なこと、不得意なことはあります。それを伝え合えるのは、とても楽しいことです。
単純なようで、気づかないこともたくさんあります。そういうことを教えてもらいました。

何よりこれを食べてもらいたいという気持ちが、一皿の全てに詰まっていたような味わいの「鶏と唐芋の薩摩煮」は、私にとって最も大切なお料理の一つなのです。

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