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「神野大地」という男

「いよいよこいつの名前使ってnote書きやがったか高橋は」という感じだろうか。

僕も正直「みんな知ってるだろうしなぁ」とか「僕が書かなくても他にたくさん書く人いるだろ」という気持ちで遠慮してきた。

だが、これを読んでさらに応援してくれる方々が増えればいいなぁと、それは僕にしか書けないよなぁということで、書いてみる。

僕のnoteを読んでくれている方々は恐らく陸上が好きだと信じて、当たり前のような他己紹介は省く。

彼を一言で紹介するならば、青山学院大学陸上競技部の後輩で、今はプロランナーとして東京オリンピックを目指している。

僕が彼のことを書くからには中途半端には書けない。神野は僕の中でそういう存在だ。

応援にもなってない文章になることは何も書き始めてないこの時点で予想がつくので、多目に見てほしい。

僕が神野と出会ったのは、僕が大学1年生で彼が高校3年生の夏。北海道の深川合宿だった。まだお互い何も知らない状態で出逢い、同じ部屋で合宿を共にし、いつのまにか仲良くなっていた。

当時は今のクソガキ要素が一切無く、坊主で純情な可愛い高校生だった。いい感じに僕をリスペクトしてくれていたこともあり、可愛い後輩として扱っていこうと企んでいた。

その甘い考えも束の間、入学してすぐに方を並べられるどころか、僕の自己ベストを抜いて入学してきた。

「神野世代」は「おまえら何で青学入ってきたん?」みたいな奴らがゴロゴロいる異常な世代だった。

神野とは入学して1年間は同じグループで練習を重ね、神野からすればタイミングや怪我もあり実力を発揮できない1年となったが、僕からすると「目に見えない差」を常に感じていた。

たとえば神野に学内タイムトライアルで勝っても、記録会で先着しても、何も嬉しくなかった。「いずれ負ける」としか思えなかった。

まずもって「いずれ負ける」と感じてしまう辺りが、ランナーとして僕は終わっていたのかもしれない。けれど、間違っていなかったと断言できる。

理由は、彼の「努力できる才能」に勝てる気がしなかった。多分、純粋な才能なら僕の方があると本気で今でも思う。

今まで色々なランナーと関わってきたが、神野ほど生きる時間を競技に使う人はいない。あくまで僕の経験ベースだけど。

お酒は飲まない。

ジュースも飲まない。(カルピスはたまに飲む)

暴食はしない。

神野を寮内で見かければだいたい歯磨きかストレッチか体幹トレーニングの3択。

各自jogはだいたい先頭にいる。

練習後は誰よりも遅くまで残って補強をしている。

僕が合宿中に人狼ゲームをしていると「意識が低い」と怒られる。

僕が合宿中に百味ビーンズのまずいところだけ配っても空気を読まず受け取らない。

休日は競技にマイナス要素が少しでもある選択はしない。

字で表すと難しいが、テレビの前よりも、実際の努力が凄まじいことだけはどうか知ってほしい。

ではなぜ彼が、お酒は飲む、ジュースも飲む、暴食もする、各自jogは必ず一番後ろにいる、練習後は誰よりも早く寮に戻る、休日は競技にマイナスなことしかしない僕と仲良くしてくれたのか。

それは僕にも分からないが、それを言うと僕が好い人みたいになってしまうのでここでは伏せておこう。

僕は悪いことなら何でもする最低の奴だ。

話は変わるが、

神野には、感謝してることが1つだけある。

僕らが大学4年生のときに立てた、「箱根駅伝で総合優勝したい」という無謀とも思える夢に付き合ってくれたことだ。

普通に過ごしていれば1つ下の彼らが4年生になった時に「箱根駅伝総合優勝」は出来ただろう。そして思い通りのチームもつくれるだろう。

そんな状況で、僕ら激遅集団の4年生に最後まで着いてきてくれた。そして、奇跡でしかない目標を果たすことができた。

だから、僕は恩を感じている。

彼ら1つ下の世代は自分のために頑張っただけかもしれないが、チームに文句一ついわず、(僕が寮飯を隠れて捨てていたのがバレた時はさすがに文句が勃発した)僕ら世代の夢に付き合ってくれたのは事実だ。

何より、神野の毎日の競技に対する姿勢が、「僕らの無謀な夢」を「僕の中で絶対に裏切れない夢」にしてくれた。

だから、僕は神野の応援を若干少しだけほんのちょっとしたい。

加えて、神野が今置いている環境は中々過酷だ。

オリンピックを目指すにあたり、実業団を経て独立し、プロランナーという難し過ぎる道を選んでいる。

同時に、コーチは僕の同期の高木だ。

まさに二人三脚で、東京オリンピックでメダルを獲得することを目標に、毎日毎日日の当たらない場所で努力している。

ケニアにもエチオピアにも長期滞在し、合宿を行っている。

他の日本人ランナーが中々選ばない手段だから、結果が出ないと批判は数多く飛んでくるだろう。

当たり前だけど、僕は絶対に批判しない。

一人で練習しようが団体で練習しようが、自分のする努力は変わらない奴だということを、嫌というくらい僕は見せつけられているから。

ライバルがみんな努力するなかで、誰が一番努力したなんて分からない。

だけど、「僕が自分の才能を信じれなくなるくらいの努力をし続けた神野が、妥協するわけがありません」くらいは、自信を持って話せる。

どのスポーツも努力した人が必ず勝つとは限らない。むしろ何回も平気で努力に裏切られてきた。そういうものだと思う。

けれど神野は「努力は裏切らない」という言葉を必ずサインの横にかく。

んなわけねーだろというのが僕の正直な感想だ。

でも、そう信じることが神野にとっては原動力なのかもしれない。

僕は陸上競技というスポーツは残酷なくらい才能が優位に働くスポーツだと思っている。そうじゃないと思う人も多いかもしれないが、僕はそう思う。

そんな僕の価値観を、神野が僕の目の前で覆してくれる日が来たらいいなと、数年後のいつかを楽しみにしている。

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1993年2月2日生まれ。人生間違えて箱根優勝しちゃった人。宮城県東松島市出身。あだち充が好き。全盛期は今。どこにでもありそうで無い、人に恵まれている日々をつづるnoter。
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