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【テンプレート公開】新規事業開発で使ってほしいインセプションデッキ

こんにちは。BtoB企業のための新規事業会社、株式会社Lboseの小谷草志です。

BtoB企業の新規事業立ち上げに特化した月額制オンライン開発チーム「ATTEND biz」を運営する僕たちが、1年間に20社以上の新規事業立ち上げに携わって得たノウハウをシェアする当マガジン。今回は、新規事業の計画に役立つ、「インセプションデッキ」というツールを紹介したいと思います。

◆この記事の最後で、僕らがカスタマイズして作ったインセプションデッキのテンプレートがダウンロードできます!ぜひ活用してみてください。


メンバー全員の共通認識をつくるインセプションデッキ

「インセプションデッキ」という言葉をご存知ですか?

インセプションデッキとは、目的や背景、優先順位といったプロジェクトの全体像を把握するためのドキュメントのこと。ThoughtWorks社のRobin Gibson氏によって考案されたインセプションデッキは「アジャイルサムライ」の著者 Jonathan Rasmusson氏 によって広く認知されるようになりました。
(詳しくはこちらの記事などを参照)

プロジェクトのメンバー全員が10の質問に向かい合い、共通認識を探っていく過程でコミュニケーションを深め、プロジェクトに関する期待値をマネジメントする…というのがインセプションデッキの概要です。

このインセプションデッキ、僕らがサポートすることの多いBtoB企業の新規サービス開発には欠かせない存在なのです。


なぜインセプションデッキが必要なのか。

答えは、やりたいことを全部盛りにしがちな新規サービス開発において「何をやるべきか、やらないべきか」の線引きを明確にするため。

これまでも当マガジンでは、新規事業立ち上げの際は“リーンスタートアップ”=必要最小限の開発リソースでβ版の初期リリースを行い、ユーザーの生の声を反映しながら改善を繰り返していく手法がオススメとお伝えしてきました。なぜなら、改善を繰り返すことが一般的な新規サービス開発においては、開発当初に完成形のプロダクトを想定するのが極めて難しく、最初から一気に労力や費用をつぎ込んでも無駄になってしまう可能性が高いためです。

そこで、前述のインセプションデッキを登場させます。インセプションデッキは、プロジェクトにとって本質的に大切にすべきことは何か? 優先順位は?といった質問によって思考を削ぎ落とし、整理するためのツール。ひとつのテーマが1枚のスライドにまとまっているため、10枚のスライドにプロジェクトの概要と方針をまとめることができます。

インセプションデッキを通じて、クライアントと開発チームの間で曖昧になっていた認識が言語化・可視化されます。すると、ついつい機能を足してしまいがちな開発のプロセスにおいて、いつでも「初期リリース時に達成したい目標は何か」「誰に何を提供するサービスか」という原点に立ち戻ることができるのです。


ATTEND bizのインセプションデッキは、たった4枚。

これまで10枚とお伝えしてきたインセプションデッキですが、ATTEND bizではさらに内容を厳選し、非開発者であるクライアントにも伝わりやすい言葉に置き換えたうえで、4枚のスライドを利用しています。

1.自分たちはどうしてこのプロジェクトに取り組むのか

ATTEND bizのサビといっても良いかもしれない、何度でもお伝えしたい新規サービス開発の一丁目一番地。「誰の、どんな課題を解決するために、そのサービスを立ち上げるのか」をより具体化した問いです。

このプロジェクトはなぜやるのか、誰のために必要なのかを明確にしておくことで、いつのまにか手段が目的化してしまっていたり、作ったものが最善の手段ではなかったとなる可能性を潰していくことが重要です。

2.エレベーターピッチ

「エレベーターピッチ」とは、エレベーターに乗っている30秒間にプレゼンできるくらい、簡潔に分かりやすくサービスの概要をまとめたもの。ニーズ/顧客/プロダクト名/競合との差別化などの決められた項目を埋めて作っていきます。この短い文章は、プレスリリースや資金調達といった外部とのコミュニケーションにおいても活躍します。

開発メンバー全員と共通認識を持つことで、プロダクトに対する認識の齟齬をなくしていくことにも繋がります。

3.やること、やらないこと、後でやること

実はもっとも大事なのが「やらないこと」を決めるというプロセス。言い替えると「初期リリースを目指す段階でやらなくても良いことは何か」を詰めていきます。ぜひとも盛り込みたかったけどβ版にはトゥーマッチかな、という機能は「後でやること」に回すケースも多いです。

プロダクトが必要以上に膨れ上がるリスクを減らし、ミニマムリリースをするために必要な作業です。

4.トレードオフスライダー

「トレードオフスライダー」は、開発の現場で頻繁に使われる言葉です。プロジェクト上の判断基準として、品質やコストといった要素をピックアップし、それぞれの優先順位を5段階で設定します。繰り返しになりますが、新規サービスの開発において最初から完全無欠のプロダクトをリリースすることは不可能に近い(相当の費用と人員と期間を費やさない限りは)ため、優先順位を決めてリソースを集中させる必要があります。

そういった、チームで何を優先するのか、何を(今は)妥協するのかについて合意を取るためのドキュメントです。


チームがひとつの方向へ走るために。

 シンプルな言葉でプロジェクトメンバー全員の共通認識を形成していけるインセプションデッキは、開発が本格化した後のワイヤーフレーム作成やPRのシーンにおいても、あるとないとでは大違い。本当に便利なツールなので、ぜひ新規事業企画の際に試してみてください。

とはいえ、「自分たちでは機能の優先づけをどうしたらいいか分からないよ」という方のために、次回はインセプションデッキより少しだけ手前のお話「ATTEND bizでは、どうやってクライアントの要望をサービスのかたちにしているのか」についてお話できたらと思っています。どうぞお楽しみに!


インセプションデッキテンプレート ダウンロードはこちらから

以下のSlideShareのページからダウンロードしていただくことが可能です。



BtoB企業の新規事業立ち上げに特化した月額制オンライン開発チーム「ATTEND biz」

僕たちが運営する「ATTEND biz」というサービスは、「BtoB企業の新規事業立ち上げ」の知見を蓄積しながら、開発・リリース・運用・改善という初期段階に伴走し、支援する開発チームを提供するサービスです。

弊社の「3,000名の優秀なフリーランスとのつながりを活かし、フェーズに合わせて適切な人材をアサインできる」という強みを活かし、有り難いことに2020年3月のサービス開始から1月現在でこれまで50件以上のご相談と20件以上の新規事業開発案件をいただいています。

・Webサービス・スマホアプリを立ち上げたいが、開発体制がない/リソースが不足している
・慣れないWebやアプリの開発で、相談や議論できる相手がいない
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こんなお悩みを抱えていらっしゃいましたら、ぜひ一度、お声かけください。
お話を伺いながら、その企業に最適なチーム編成、開発支援、その後の継続まで、しっかりと支援していきます!


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