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Sou-no-Iroが生まれた理由

人生は30,000日


大学3年生の時期に
Dropboxの社長のスピーチの動画に出会った。

そのスピーチの中に「人生を日にち換算すると3万日である」という言葉があった。

22歳の時点で約8,000日が経過している計算になる。

大学卒業後はしたいこともないので
適当に自分と相性が良さそうな会社に就職しようと思っていたが
その言葉に衝撃を受けて、

一度の人生であるなら
もっと自分のしたいこと、面白くて楽しい人生にしたいと思い、
そこから自分が好きなものを探すことに時間を割き続けた。

最初は「知識」「情報」「考え方」が必要だと考え、
大学の図書館に毎日通った。
1週間の一冊程度のスピードで読めればいい程度の読書スピードが
一日3冊以上の読書量になった。

それまでの自分は1年で100冊以上本を読む人がいるという話を時折耳にすると
「すごいな。自分には無理だ」と思っていたが、

気づいたら3ヶ月経たずに100冊以上の本を読んでいた。

読んでいた本は
「生き方」「自己啓発」「心理系、脳科学系」「量子力学などの科学系」の本が中心で
今後の自分の道をどうすればいいのか悩んでいた。

本を読む時間以外は好きな経営者などの音声をひたすら聴いた。


絵を描く


就職活動をしないまま、大学を卒業し、
自分のしたいことは何なのかを知るために色々なことを試してみることにした。
WEBデザイン、占い、FX、心理系の仕事、アフィリエイト、コピーライター..
少しずつお金になる仕事もあったが自分には合わないと思い絵を描き始めた。

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絵は"幾何学模様"と"曼荼羅"と"自分の好きな言葉"を組み合わせて作るオリジナルの絵を描いた。
絵を購入して喜んでくれる人も少しずつ増えていった。


だが、日本で絵だけで食べていくには難しいと考えに至り、
海外で販売してみようという考えと
以前から絶対に訪れてみたい場所があったので
2018年7月から思い切って世界一周のひとり旅にでた。


世界一周のひとり旅

予算は100万円
周った国はインド、エジプト、モロッコ、スペイン、フランス、イギリス、アメリカ、などなど
本当に行きたい国の行きたい場所だけをピンポイントで周った。

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インドだけはかなり物価が安いので
南インドから北インドまで1ヶ月くらいかけて陸路でゆっくり周った。
バスに十数時間休憩なしで移動したり、たくさん騙されたり、
いかにも危ない場所に連れて行かれて囲まれたりもした。

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素晴らしい出会いがあったのは旅の中盤で立ち寄ったトルコのカッパドキアという
ヘンテコな遺跡地帯と気球で有名な街。

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以前、テレビで見て行ってみたいと思っていた。
カッパドキアではツアーに入った方が効率よく安く見所が観れるということでツアーに参加した。
ちなみにツアーへの参加はインドで何度も散々な目にあったのでまた騙されたりするのでないかと
自分の中では警戒心だらけだった。

ツアーに参加すると大抵、
ツアー会社と仲良くしている観光客向けのお土産屋(宝石など高いものが売っている場所が多い)に連れて行かれる。

カッパドキアのツアーでも案の定、途中途中で、宝石店に連れて行かれる。
他の外国人の観光客もまたか、しょうがないなとという面持ちで店に入るのだが、
2箇所目に連れて行かれたのが運命を変える「トルコ絨毯」の店だった...

そこには
色とりどりの美しい色の糸や絨毯が壁や床に敷き詰めらていて、
店の人がいうには全て植物で染めた色だと言う。

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え!?
と思った、


なぜなら日本でも手作りのイベントや京都のお店などに行くと植物を使って染めた
「草木染」のストールや靴下、ポーチなどを何度も見たことがあったからだ。

だが、日本で見たことのある草木染の印象は
「色が淡い」
「自然好きな人、オーガニック大好き!な女性が好むもの」
といったもので、
"色が薄め"、"セピア的な色"といった印象しかなかったからだ。


だが、そのそのお店で見たトルコ絨毯は日本で見た草木染の色とは違い、
はっきりとした色とりどりの美しい色
だけど、
化学的な色味のようにパキッとした色ではなく、
どこか優しさと力強さ、温かみが感じられる色。

その美しさに感動した。
予算があまりない貧乏旅だったので絨毯は買えなかったが、
その後の旅の道中も綺麗だったなと何回も思い返した。


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この世界一周の旅の目的の半分は自分が行きたいところに行く遊びの旅であり、
もう半分は絵を路上などで販売してどれくらい売れるのかと絵を売る旅でもあった。

だが絵の販売の方は下調べした情報では路上で販売可能な国も
規制が厳しくなり路上で販売しようとするとすぐに何処からともなく
お巡りさんが来て注意された。

結論としては、
ここ数年でどの国も路上での販売がかなり厳しくなり、
世界で絵を販売できるのはオーストラリアの一部地域に限られている。

海外では絵を買ってくれる人は多いのかもしれないけど絵を販売することが難しくなっている。
と言う現状があり、絵だけでお金を稼ぐのはしんどいと言う結論に至った。


草木染とレザー

日本に帰国したら何かまた別のことを始めよう。
そこで、思ったのが「草木染」だ。
だが普通に綿や麻に染めても他にしている人もたくさんいるし、面白みがない。
草木染と何かを組み合わせることができないだろうか思い、
頭の中に現れたのが、「レザー」だ。

以前から大量生産ではなく、
個人で制作、販売して作った"手作り"のものが好きで、
大阪の南港で行われる大阪アートバザールや万博記念公園で開催される
大規模な手作りイベントにはよく通っていた。

手作りイベントで絶対にチェックするのが「レザー製品」だった。
「ブランドもの」 のレザー製品も好きだけど、
創り手さんが作るモノはどこか「温かみ」、「優しさ」のようなものが感じられて
見ているだけで楽しかった。

自分はそのようなレザー製品を見るたびに
「すごいな!でもちょっと個性的すぎるな。」
「もっとシンプルだったらいいのにな。」
と思って結局は一度も手作りのレザー製品を買ったことがなかった..


そこで、自分は「革」に草木染を施してカッパドキアで見て感動したような
美しく、優しい、温かみのある色。
そんな革製品を作ってそれを見て喜んでくれる人がいたら楽しそうだなと思った。


帰国

日本に帰国して、すぐに制作に取り掛かった。
草木染ももちろん、革製品も一度も作ったこともなければ、作り方もわからない。

ネットや図書館で本を借りて調べた。
苦戦したのが、革に草木染をする方法だ。
麻やシルクに草木染を施す方法であれば
日本でも古来からある技術で情報もある。
たが、革に草木染をする方法を教えてくれる人はいない。

麻やシルクに草木染をする方法と同じ方法で革に草木染をしても
色が全く入らなかったり、色ムラが酷かったり、
革が変形したりと問題点だらけだった。

だが、ここで諦めても他にしたいことがないので、
水や染料の分量、染める回数、染める時間、沸騰時間、染め方、
などを細かく記録し、何度も試行錯誤を繰り返した。

2018年11月から実験を繰り返し、
少しずつ革に草木染を施すことができるようになったところで
2019年1月頃より販売を開始してみた。

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すると、まずはTwitterでの投稿を見ていて僕のレザー製品買ってみたいという方が現れた。
そこから少しずつ少しずつ僕の作品に興味を持ってくれる方が増えていった。


菩提樹とSou-no-Iro

Sou-no-Iroのロゴマークの葉っぱの形は、
インドで訪れたブッタガヤ の寺院にある釈迦が悟りを開いた時に
瞑想していた場所にある木
と言い伝えられている菩提樹の木の葉の形をモチーフにしている。

菩提樹の木といっても、その一本の木は世界中の仏教徒にとって
とても神聖なもので"大菩提樹"と呼ばれ、
その他の菩提樹と明確に区別されていて周りを柵で囲まれている。

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↑ 久谷焼陶房日記・・久谷美陶園から・・さんからの引用写真

寺院の中は撮影が禁止されていて、
院内に足を踏み入れると
まるで別世界に来たかのような
今まで感じたことのない神聖な空気に包まれている。

その菩提樹の周りを囲むように世界中の様々な人が瞑想や祈り、
ヨガなどを行なっていた。
案内を頼んでいた現地の友人に教えてもらったのだが、
大菩提樹の周りには同じ種の菩提樹が生きてる。
寺院の外で大菩提樹の葉を高く売っている売り子がたくさんいるが、
それは大菩提樹の葉ではなく、
ただの菩提樹の葉なので騙されて買わないように。と。

大菩提樹の葉は落ちるとすぐに拾われてしまうので中々手に入らないらしい。
皆が欲しいと思うものなのでそうだろうなと思った。

そこで目の前に落ちていた菩提樹の葉っぱを拾って、
例えば何が大菩提樹と普通の菩提樹の違いなのかと彼に聞いた。

すると、僕が手に持っているのは大菩提樹の葉だと言うのだ。
彼が言うには、大菩提樹と菩提樹の葉の違いの簡単な見分け方は
「質、厚み」らしい。

見ただけでは素人の僕には見分けがつかなかったが、
拾った大菩提樹の葉と他に落ちている別の菩提樹の葉
を触り比べてみると明らかに大菩提樹の葉の方が
厚みがあってしっかりしている。

その木の周りでたくさんの人が毎日祈りや瞑想をしているおかげなのだろうか。
不思議な感覚になった。

菩提樹の葉をそんな風に手に入れられるのは
かなりラッキーな事らしい。

このようなことがあり、
大菩提樹の葉は僕にとって
「縁起が良い」、「幸運」という意味がある。

その葉っぱの形を作品に刻印することで、
僕の作品を手にとってくれた方にも
良いことが起こりますようにという思いを込めている。

菩提樹の葉です。

その時に実際に拾った大菩提樹の葉っぱ


草木染

革に草木染を施すのは難しく、
今でもノートに細かく記録を取りながら
染めを行なっている。

根っこや葉っぱを鍋で何時間も煮て染料液を作ってから
できた染料液を使って
染めては乾かし、染めては乾かしといった工程に2週間程度かける。

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一度の染めではかなり薄い色にしか染まらない。
何度も重ね染をすることで色を徐々に濃くしていく。
色の上に色を薄くのせていくイメージだ。

草木も革も生き物。
全く同じ染め方をしても革の厚み、部位や
草木が取れたタイミング、採れた場所などの関係で
全く同じ色はできない。

だが、全く同じはっきりした濃い色にしたいのであれば
わざわざ手間がかかる草木染をしないで化学染料で色付けすればいい。

とても時間がかかるけれど、
「自然の色」、「シンプルな見た目」
縫い方もミシンではなく「手縫い」にこだわることで
自分が手作りのもので一番好きな「温かみ」を大切にしている。

草木染のレザー製品に使う麻の糸にも、同じく草木染をすることで
他のどこにもない優しい個性が出るようになった。


秋の紅葉のように美しく、一枚一枚に個性と優しさがある葉っぱのような作品作りを続けたい。

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創り手

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増田宗一郎
1994年 大阪生まれ
2018年7月から世界一周の旅に出る。
道中で訪れたトルコのカッパドキアで草木染で作られたトルコ絨毯の店に訪れ、草木染の美しさを体感する。
日本に帰国後、草木染、レザークラフトを独学で学ぶ。
2019年1月より本格的に草木染レザー作家として活動を開始する。
実店舗はなく、ネット販売をメインに活動中。
不定期で関西を中心に手作りイベント等に出店しています。


Sou-no-Iro BASEショップ
https://sounoiro.theshop.jp

Dropbox 創業者 ドリュー・ヒューストン マサチューセッツ工科大学の卒業式スピーチ
https://www.youtube.com/watch?v=YWbNlMFzK40


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