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映画の話202 予告犯

 この映画を観た時は、インターネット動画による犯罪予告と、現に犯罪を実行する様子を動画配信するなんていう設定はフィクションならではだと思っていました。でも今は、ドラレコや、道行く人などによる映像が日々刻々とインターネット上で流されて、それがニュースでも流されるようになりました。
 映画として観ると、その異常性や怖さがはっきりわかるのに、いざ現実のことになっていってもあまりピンとこない、それが恐ろしいと思います。
 この映画は、そういう側面と、もうひとつ、貧困による歪みがよく出ていて、単なるクライムサスペンスですは終わっていないと思いました。
 貧困や労働環境、そしてずるく生き延びる人々、日本の構造的な問題や、病んだ部分について考えさせられました。犯罪は決して許されない、けれど庶民感情にシンパシーを抱かせる私的制裁。それは描きようによってはヒーローものになりかねない危険を孕んでいると思います。
 でも、この映画の1番の見どころは、やっぱり仲間の姿、だと思いました。

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