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この素晴らしき世界#4

 事務長先生がわざわざ事務室から顔を出して私を呼び止めて、ちょっとの間、事務長先生とROGUE(ローグ)や奥野敦士さんのことをペラペラしゃべってしまいました。
 すると事務長先生が「What a Wonderful World」の歌詞の一節を呟くようにおっしゃって、唐突だったのでその時はよくわかりませんでした。
 帰りの電車の中で、奥野敦士さんが歌い上げる「What a Wonderful World」を聴きながら、その一節を確かめました。そしたらもう、涙がぼろぼろこぼれて困ってしまいました。
 
 その歌詞は次のようなものです。

 I see friends shaking hands.
 Saying, “How do you do?”
 They’re really saying,
 “I love you”.
 友だちが
「元気にやっているかい?」
って手を振ってくるけど、でも、本当はみんなこう言っているのさ。
「愛しているよ、お前のこと」

 みなさんは10代でまだ青いから、たくさん頭にくることとか悲しいこととか嫌なこととかあると思います。
 でも必ず、自分が歩いているずっと先の方から、みんなが手を振っています。年を取るとよくわかります。老眼で遠くの遠くの、ず〜っと遠くが私にははっきり視えます。だからあんまり怯えないで、他の人や自分を傷つけないでくださいね。あなたの、この素晴らしき人生のためにも。世界はそれほど悪くない。

(「shaking hands」はあえて「手を振る」と訳させてもらいました。)

つづく

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