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時空を超えた魂の結びつき【鑑定小説】

これは、ある女性から聞いた話だ。

勝田雅子(仮名)は、13歳年下の彼に心を奪われていたという。
だが、彼はコミュ障で対人恐怖症という、彼女にとってまるで手の届かない存在だった。それでも彼女の心は、運命の糸に絡め取られたかのように、彼に対する思いを断ち切ることができなかった。シンクロニシティや言葉を交わさずとも通じ合う瞬間が、彼女に「彼こそが唯一無二の存在だ」と信じ込ませていたのだ。

しかし、彼が職場を辞めると知った時、彼女の心は不安に支配された。このまま彼と会えなくなるかもしれない、そんな恐怖が彼女を押しつぶそうとしていた。

そんな中、彼女はある占い師にすがることにした。蒼樹先生というその占い師は、画面越しに彼女の心に寄り添いながら、その不安を取り除いてくれるかもしれないと、彼女は期待していた。

「今、13歳年下の彼に恋をしているんです」と彼女は打ち明けた。まるで告白することで、自らの抱える問題の重みが増したかのように感じられたという。彼との関係は、まるで蜃気楼のように近づいては消え、掴みどころのないものだった。しかし、それでも彼女は確かに感じる不思議な絆を信じ続けた。運命が二人を引き寄せているかのように感じたのだ。

「彼が職場を辞めることになったんです。このまま会えなくなるのかもしれない…」と彼女は震える声で打ち明けた。それが最後の会話になるかもしれないという恐怖が、彼女を駆り立てていた。

蒼樹先生は、しばしの沈黙の後に答えた。「彼の心は不安定ですが、あなたを求める気持ちは非常に強いものがあります」。その言葉に、彼女の心は少しだけ軽くなった。しかし、彼女が最も気にしていたのは、彼と本当に再び会えるかどうかということだった。

「あなたたちは魂レベルで深く結びついています。別れたくても別れられない運命の関係です。だから、会えなくなることはありません」。その言葉に、彼女は安堵の息をついた。まるで心の中の重い雲が一気に晴れたかのような感覚だったという。

雅子は昔から霊感があると自覚していた。しかし、蒼樹先生が一言でそれを言い当て、さらに彼女と彼との魂の結びつきを見抜いたことに、彼女は驚きを禁じ得なかった。この人は本物だ、と彼女は確信した。

蒼樹先生はさらにこう続けた。「あなたたちは運命で結ばれています。このままあえなくなることはないし、おおらかな気持ちでいることで、さらに良い方向に進むでしょう」。その言葉がどれだけ彼女に希望を与えたか、計り知れない。涙が自然と溢れ出し、心に巣食っていた不安が一瞬で洗い流されたようだった。

「ありがとうございます。会えなくなることはないと言ってもらえて、本当に救われました」と彼女は感謝の言葉を述べた。蒼樹先生の言葉は、彼女が必要としていたまさにそのものであり、その言葉が彼女の心に光を灯したのだ。

その日、彼女は決意を新たにした。彼との関係がどうなろうとも、焦らず、穏やかな気持ちで待とうと。彼とのつながりが運命であるならば、信じ続けることが大切だと。蒼樹先生の言葉を胸に、彼女は未来を信じて進んでいくだろう。

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