答えがないから、占いがある【占い師:蒼樹のエッセイ】
彼(彼女)の気持ちを知りたい……
以上は、知人がブログにアップしてしばらくして削除したエッセイのようなもの。占いの現場を知らない彼のような人が感じる典型的な内容である。
ハナから占いを小馬鹿にしてみたり、占いを貶す人に共通するのは、人間の心理というものがてんでわかってないことだ。こんな人達に出遭うたびに、ふんまんやるかたない気持ちになる。
人はなぜ占いを求めるのか。それは単に「気持ちを知りたい」などという表層的な理由ではない。人間は根本的に、不安に耐えられない生き物だ。未来が不確実である限り、その不確実性をどうにか和らげたいと感じるのは、極めて自然なことだろう。それを「保証が欲しい」などと矮小化してしまうのは、心理の深みを知らない発言だ。
占いがなぜ今も多くの人に支持されているのか、考えてみてほしい。占いは、ただの予測を超えて、人々に安心感や希望を与える役割を果たしている。もちろん占いには、科学的な根拠がないという批判もあるだろう。しかし、占いは理屈を超えたところで人々に寄り添い、心を軽くするものなのだ。
例えば、仕事や恋愛、人間関係に悩む人々は、その悩みの中でどうしても自分の感情や考えにとらわれがちになる。そんな時、占いは第三者の視点を提供してくれる。たとえその視点が未来の「確定情報」ではなくても、新たな考え方や解釈を与えることで、迷いや不安から一歩前進できることがある。
「彼(彼女)があなたを嫌っている」という結果が出たとして、それが全て絶望的なものであるとは限らない。占いの重要な役割は、状況を客観的に捉えた上で、どう対処すべきかのヒントを提供することだ。「別れを考えている」と言われたら、そこで終わるのではなく、なぜそうなのか、どうすれば改善できるのかという次のステップに進む手がかりを得ることができる。つまり、占いは結果ではなく、プロセスなのだ。
さらに、人が占いに求めるのは、単なる結果だけではない。占いを通じて、悩みを共有し、安心感を得たり、励ましを受けたりすることで、心理的なサポートを得ている。これこそが、占いの本質だ。恋愛がうまくいくかどうかの答えが欲しいのではなく、その過程で感じる不安や迷いに寄り添ってくれる存在が必要なのだ。
占いは、確かに未来を「見通す」ツールではあるが、それだけではない。占いは、悩みや迷いに直面した人々に対して、未来を少しだけ明るく照らし出す「灯台」のようなものだ。占いにおける答えは、その時の状況を基にした一つの可能性であり、それをどう受け止め、どう行動するかは個人に委ねられている。つまり、占いが提示するのはあくまで「道」であり、道を歩くのは本人自身だ。それを「占いに頼りすぎる」と言うのは、ナンセンス。
結局のところ、占いを軽視する人々は、占いが提供する精神的な支えや安定感の価値を見落としている。だからこそ、彼らに向けて言いたい。占いは、ただの未来予測のツールではない。それは、不安や迷いを抱える人々の心に寄り添い、彼らが自分自身と向き合い、前進するためのきっかけを与えるものだ、と。
蒼樹のエッセイ一覧
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