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一人旅はもういい。 <夫婦世界一周紀45日目>

一人旅が好きだったのは、自信がなかったからだと思う。

ひとり旅とは、良いも悪いも全て自分に跳ね返ってくる環境ということだ。深夜バスに乗って一人でゲストハウスに宿泊し、ひと回りもふた回りも上の人たちと同じ目線で会話を交わす。若さもあっただろう、みんな優しかったし、褒めてくれた。いつもより上手く立ち回れる自分に驚いていた。僕の本質は、僕の過ごす社会では発揮されないのかもしれない。高校2年ごろの話だ。

国内を中心に旅を続け、初めての海外旅行も一人旅だった。でも、フウロと出会ってからは、一人旅の回数は格段に減った。自尊心を保つことよりもずっと楽しいことを見つけたからだ。一人旅している時に面白いことがあったらもったいないと思うようになったからというのもあるけれど、旅で生まれる一瞬の邂逅の時だけ立ち回る自分に本質があるのではないということに気がついたからでもあった。旅で生まれる一瞬の縁は、プレゼンみたいなものだと思う。邂逅・一期一会。だからこそ生まれる無責任さ。旅はその非日常こそ魅力なのだけれど、無責任さをまとって一生は生きていられない。

二人で世界一周をすると決まった時、僕は自分が一人で訪れた場所にフウロを連れて行きたいと思っていた。僕が一人で感動して、ずっと大切に取っておいている感情を共有できたらどんなにいいだろうと思ったからだ。未知の世界をいくのとは違った楽しみがある気がする。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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