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クジャクとぼく <夫婦世界一周紀61日目>

僕には鳥と距離を縮められる特殊能力がある。じーっと目を見ていると心を許してくれるのだ。ペットで飼っていたあひるもそう。僕だけにいい顔をしてくれる鳥たちを見て、フウロはちょっぴり羨ましそう。

今日はポルトの海を見に行った。砂浜と真っ青な海は綺麗だったけれど、綺麗以上の何かがある場所ではなかったので早々に引き返す。行きと同じバスに乗ったつもりが途中で家と反対方向に曲がってしまい、バスに降ろされた場所は家から5キロ近く離れた場所だった。バス停の後ろには公園が広がっていて親子連れに賑わっていた。

せっかくだからぶらりと立ち寄ってみると、そこにはクジャクがたくさんいたのだ。

クジャクは自分のテリトリーになかなか入れさせてくれない生き物だ。近寄るとひょいひょいと立ち去ってしまう。でもこの子はでっぷりと腰を下ろして木漏れ日を浴び、うとうとしていた。

そっと近づくと目はこちらに向けたけれど、逃げるそぶりは見せない。ジリジリと近づいて、ゆっくりファインダーをのぞいた。

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鳥のキュートなところはお胸だと思う。座るともちっと丸みを帯びてふこふこだ。祖国に残してきたペットのあひるが頭をよぎる。あひるは警戒心が薄くてもこもこしていて、抱っこし放題なのだ。くちばしですごい噛まれるけど。

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このクジャクはちょっとあひるに似ていた。このこの目はとても人間的な目をしている。じいっと見つめているけれど、ちょっとあたたかい目。こんな小さな頭で何を考えているんだろう。僕はどう見えているんだろう。

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こんなに間近でクジャクを拝んだことはなかった。綺麗な羽はしまうと意外にコンパクトだ。ポヤポヤと羽毛が飛び出していて、きっとポルトの冬に備えて冬毛の支度中なんだろう。

やっぱり動物はいい。久しぶりに生き物を触れ合って、僕もフウロも息を吹き返したようだった。うまい飯もうまい酒も結構だけれど、やっぱり動物は旅の醍醐味なのだ。欲をいえばお腹を撫でてみたかったなあ。


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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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