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バス移動の日は時間が止まる <夫婦世界一周紀50日目>

移動だけに費やす日は実はけっこう多い。

昼に出ようが夜に出ようが、その日はほとんどが移動をメインとした1日になる。世界旅行にとって移動というのは慣れた場所から飛び出る大きなイベント。同時に一番ストレスのかかる出来事でもある。ガイドブックの情報なんてほとんどアテにならない。というか、自分たちと全く同じシチュエーションの情報なんてブログでもほぼない。勘を頼りに右に行ったり左に行ったり、勘は意外に当たるのだ。その勘にも法則がある。疲れている時に下した判断は大抵失敗する。

マドリードからバルセロナまでは深夜バスだ。飛行機に乗ると料金は一見安いが、宿代がかかってしまう。深夜バスであれば移動と宿泊がセットなので安いが、体はボロボロだ。高校生の時から深夜バスには慣れ親しみ、ライブを見に広島までバスで行ったこともあった。社会人になってどんなに安くても深夜バスはもう乗らないと臍を固めたが、ここはスペイン。宿代を浮かせて白カビサラミが食べられるんならいくらでも我慢してみせる。

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ほとんど寝たきりだったスザーナの宿に別れを告げた。写真のおっとりとしたイメージと違って、まさに情熱の国スペインの女という感じだった。意思疎通が難しくて、まくしたてられるからちょっと疲れた。あと全体的に部屋の匂いがきつったし、シャワーの浴槽はコンディショナーの流し残りが溜まっているのかヌルヌルしていた。airbnbの難しさを学んだ宿だった。

出来るだけ粘らせてもらって16時まで宿に滞在し、夕暮れと共にバスは出発した。後ろの子供がしきりに背もたれを蹴ってくるし、それに気づいているはずのお母さんは叱りもしない。先が思いやられる出だしだが、深夜バスはそういうものなのだ。我慢我慢。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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