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コンサルは社内マネジメントもこなしてこそ

エストニア(&フィンランド)での落ち着かない休暇を過ごし、僅かながらリフレッシュしたヒルズ氏。しかし出勤と同時にリフレッシュ貯金は消え去る、それがここヒルズ砂漠だ。(前回


いやぁ、ガラにもなくヘルシンキでムーミンのマグカップを買ってしまってね。癒されるねぇ、、っと爆乳総務がお呼びだ。何?全体会議だと?

◆社長が前に立つ時

「全員揃ったかな?」

ベタな話でなんだが、ランチ後の眠気はかくも強力なことか。いくらコンサルとしてキャリアを積もうとこればっかりは回避不可能だ。ランチ後に予定は入れない&思い切って10分寝る、これに限る。

そんな魔の時間帯に我々は会議室にいる。呼び出し元は当然社長だ。

一体何の要件だ? 

過去、社長が全社員に話しをしたケースを記憶から呼び起こす。入社して半年強が経つのだが、最初は佳乃2号ブラインドタッチ事件、次がスティーブ・ジョブズのパクリプレゼン事件だった。思い起こすだけで転職願望が強固になる。

「単刀直入に言おう!」

ゾンビのような空気をものともせず、社長が出力マックスで話し出す。あぁ、既にこちらも疲れマックスだ。

「最近君たちさ、、、」

TedTalkを見習ったのだろうか、会議室内をうろつきだす。

「君たち、たるんでないかい?」


◆月次の成果を作るもの

な、、、何を言ってるんだ?

会議室内に困惑が広がる。たるんでるも何も、、、無茶な営業活動に無理なプロジェクト遂行、社員一同疲弊しているのだが。

「あのねぇ、よく分かっていないようだからはっきり言いますが!」

更にうろつく社長。
全方位に広がる社長の声に、次第に精神が不安定になっていくのを感じる。落ち着け、どうせ碌な話はこない、どうせ、、、

「最近!就業時間内に!」


落ち着け、、、


「エッチな画像検索をしている者がいます!」


「「「「ご、ごほぉっ!?」」」

そうそう最近風邪っぽいんだよねぇ俺!ごめんごめん!的な顔をし何名かがマスクをつける。マスクで見えないが必死で唇を噛みしめ笑いを堪えているのだろう。

我がチームの状況を確認する。お嬢氏は下を向きこめかみをマッサージし始めた。ギャル氏は煌めくネイルを眺めているが口元がもごついている。みんなの努力に胸が熱くなる。かくいう私も静かにハンカチを口元にあてた。かつてお嬢氏から教わった戦法だ。

笑いを堪える社員を前に、社長の怒りがヒートアップする。

「君たちねぇ!自分の単価を分かってるのかい!?コンサルとしての自覚がなさすぎるんだよ自覚が!」

、、、、、

この無駄の極み、どう考えても会社で水着検索した角刈り氏と、それを佳乃氏に伝えた新人Boy氏の責任。睨みつける我々に新人Boy氏が(違います!違いますって!)とエア抗議している。何が違うというのだ、お前の迂闊さが全社員の貴重な稼働と精神力を奪っているのだが? 
角刈り氏は机を一心不乱に見つめている。眼前には脳内メモリーにため込まれた巨乳×水着画像が展開されているのだろう。まさに人力AR。

「いいか?よく聞け!」

日々の行動は週次の成果に!
週次の成果は月次の成果に影響する!

拳を握りしめ、社長が熱弁。

、、、そりゃそうだ、、、何かを話しているようで何も話していない、小泉なんとかいう政治家のような発、、、

「よってぇ! 今後は日次報告を義務付ける!」


(((  ファ!?!!?  )))


◆オールスタープロジェクト

(日次!?)

(日次で社長に何を報告!?)

(それエッチ画像と何の関係が!?)

あまりに奇抜な論理展開に、百戦錬磨のコンサルたちも動揺を隠せない。いや動揺を積極的に伝えようとしているのだが、、、

「というわけで!報告方法は各事業部から代表者を選出しこの場で決めるように。運用は来週から、最優先で取り掛かってくれ!」

全く伝わらない。

「メディア&メディカルチームからはヒルズ君!」

は?

唖然とする私を無視し、次々に代表者が指名されていく。

元Mキンゼー、
元B〇G、
元ATカニカニ、

、、、

そうそうたるバックグラウンドを持つエース級が選出されている。ここに私が並び立てることには感激だが、何せやるのはエッチな画像検索を起点とした日次報告方法の決定。これほど単価を気にせず無駄な仕事を作る経営者を、私は未だ見たことがない。

困惑が充満する会議室を満足げな社長が去る。

「あとのファシリテートは、副社長に任せたよ」

すっと全員の視線がとある男性に集中する。


恐ろしく影の薄い男が、顔をあげた。

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