Hikari

自分は何者で何に命を使っているのか/ 使いたいのか。 自分という存在から逃げ続けてきて…

Hikari

自分は何者で何に命を使っているのか/ 使いたいのか。 自分という存在から逃げ続けてきてしまったから、やっと自分と向き合うことをしてみる。 目を背け続けてきた、自分が感じたことや感情を今知りたくなった。

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最近の記事

2024年1月8日(に書いたけど続きはもう書けないので途中書き)

 突如として、聞いたことのない、激しい、いかにもロックンロールかのような音楽が鳴り出した。 いや、あれはひょっとしたらヘビーメタルだったのかも知れない。 だってその激しいメロディーに合わせて、誰かの叫び声が聞こえたから。 あるいはその界隈ではそれを「歌声」と表現したのかも知れない。 でも普段からバラードしか聞かないわたしにとって、それはただのノイズだった。 被せて意識の向こうがわで自分の息遣いが荒くなっていくのを聞いた。 その両極端な音が、どちらに抗うこともなくただひたす

    • 没後50年 福田平八郎

      幾重もの歪んだ青い線が並んだだけの、その白いキャンバスがわたしの心にぶっ刺さった。 「ぶっ刺さる」だなんて耳障りの悪い言葉は、その瞬間までわたしの辞書には載っていなかったはずなのに。 この展示に行くまで福田平八郎さんのことは、何も知らなかった。 あまり興味もなかった。 なんならその上階で行われていたモネ展に二度も行ったので、受付がガラガラな福田平八郎展は横目で見ていた。 東京を出て早二ヶ月。 東京には大好きな上野があった。 上野に行けば、どこかしらの美術館で何かしら

      • 「はい、幸せです」

        今生きていることが楽になったのは。 問いかけへの行き止まりがなくなったから。 とても、とっても大切だとかつて思い、必死に愛情を注いでいた人に聞かれた。 「ヒカリさんは幸せなんですか?」 わたしが「どうか幸せでいてね」と伝えた、その返事だった。 これまで「生きる意味」をさがし続けてきたわたしの毎日は、常に終わりに縛られていた。 何をしてもどこにいても、どんだけ笑っても、最後の「でも結局」に世界を狭められた。 結局わたしの「望み」はあの時あの場所では決して叶わないもの

        • モネ 『連作の情景』

          「モネの絵ってきれいだけど、なんか、なんてゆうか、それだけじゃないんだよなー」 「なんか、モネって感じ」 モネ展を回っているとき割と入ってすぐに、後ろの若者二人組から聞こえてきた会話だ。 なんて薄っぺらい。。。と思った、が、なぜだか記憶していたし、改めて思い返してみると言い得て妙だ。 そうなのだ。 なんかモネって感じなのだ。 絵を勉強していないわたしのような人間がたくさんの絵を見ていると、 「あれ?これ誰の作品だ?どっかで見たぞ」 と似通ったタッチの絵をみる。 違い

        2024年1月8日(に書いたけど続きはもう書けないので途中書き)

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          7本

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          『AGANAI-地下鉄サリン事件と私』

          さかはらあつし監督のドキュメンタリー映画『AGANAI-地下鉄サリン事件と私』を観た。 そもそものきっかけは、過去に森達也監督の『A』と『A2』を観て「オウム真理教」という宗教団体のことを少し知っている気がしたから。 「オウム真理教」と言ったら、主語が大き過ぎるかもしれない。 それよりも荒木浩という人間に興味があるからと言った方が、わたしの想いに近いのかもしれない。 以前noteにも書かせてもらったが、この二本のドキュメンタリー映画も荒木浩が主な出演者として撮られてい

          『AGANAI-地下鉄サリン事件と私』

          中村哲さんの存在を知って

          やっぱり、今日書きたいと思った。書いておきたいと思った。 わたし自身の気持ちを知るためにも。 1年前、「アフガニスタン」という、どこかで聞いたことがある国で、ある日本人男性が銃弾に倒れた。 初めて聞いたその日本人の名前を、わたしはこの1年間、ことあるごとに思い出していた。そしてそのたびに涙が溢れた。 10年ほど前まで、夢は「国際協力」と言っていた。 けれどそんな夢は、踏み出すことを恐れ、逃げ続けた自分自身によってどこかに隠された。 だからわたしは、かつて抱いた「夢

          中村哲さんの存在を知って

          ネタバレしませんが、今夜は『愛の不時着』への愛だけ語らせてください

          大変だ!大変だ! 大事件だ!! こんな危機が、かつてわたしの人生に訪れたことがあっただろうか。 考えてみる。 …… …… いや、思いつかない。 なんとわたしは、 韓国ドラマ『愛の不時着』に恋をしたのだ。 今年の流行語大賞候補にもなっていて、今最も勢いがすごい韓国ドラマの『愛の不時着』に恋をしているのだ。 ここ数日の、わたしの24時間は『愛の不時着』に覆われていて、息もできない。 起きていれば『愛の不時着』を観ているか、『愛の不時着』のことについて考えている

          ネタバレしませんが、今夜は『愛の不時着』への愛だけ語らせてください

          映画『A』と『A2』を観た、そして最近考えることとリンクした

          先日ようやく噂の『パラサイト』を観た。 韓国の光と闇に切り込みどころか、どがぁーーん!と爆弾をぶちこんだような、見事な作品だった。 韓国の友人も日本人の友人も揃ってこの作品を大絶賛しており、観なければ、と思った次第だったが、観られてよかったと思う。 この映画がこんなに評価が高いということは、あれが隠しきれていない本当の韓国の姿というわけで、しかしひいては日本も変わらないのだと感じる。 経済大国にっぽんでやってきたこの国の労働者も、気がついたらいつしか綺麗に真っ二つに分断

          映画『A』と『A2』を観た、そして最近考えることとリンクした

          『わたしは分断を許さない』

          ずっと思っていた。 「これを、この悲惨な現実を、小すぎるわたし一人が知ってどうなるんだろう」と。 初めは、世界で起こっていることを知りたかった。自分の知識として持っておきたかった。 そうして、もっともっと、と自分のためにと知っていくにつれぶち当たった疑問。 世界で実際に起こっているそれらのできごとを、画面を通して知り涙する。行き先を知らない涙は頬を伝い、いずれ乾いてゆく。そんなことの繰り返しの先に生まれた疑問。 知るということ自体への価値を見出そうとしていたわたしは

          『わたしは分断を許さない』

          猫ひろしがカンボジア人になった話と、彼の本を読んで

          きっかけは「カンボジア」。 昔からカンボジアという国には様々な思いを馳せていたし、思い入れも特別強かった。一番憧れていて、行ってみたい国だった。 だから別に、芸人・猫ひろしのファンではなかった。 猫ひろしさんがオリンピックに出るために国籍をカンボジアに変えた、という事実はテレビのニュースで見た。 私は、 「カンボジア人になれるなんてずるい!」 と思った気がする。 だってその国の人間になるということは、いつでもその国に行けるわけだし、その国で仕事をして生活すること

          猫ひろしがカンボジア人になった話と、彼の本を読んで

          プリズンサークル

          プリズンサークルという、ドキュメンタリー映画を観た。 最近もっぱら心理学の勉強に励んでいて、つい最近も犯罪心理学の授業を終えたばかりの私には、とても興味深い作品だった。 むしろ、この一本が今後の私の人生を変えるのかも知れない、と思うほどの作品であった。 坂上監督は、刑務所に六年がかりで交渉し、撮影に二年をかけてこの作品を作り上げたそうだ。 このドキュメンタリー映画によって、わたしは全く知らなかった世界を覗き見した。 舞台は島根県にある島根あさひ社会復帰促進センター、

          プリズンサークル