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食の風景「里芋とほうれん草、人参の炊き合わせ」


三月の初めの頃のお話です。自家製里芋が残り少なになって参りました。寂しいけれど、美味しい内に味わいたくもあり、更に今年も植えるのか、だとしたら残しておかなければなりません。保管の箱の中を見詰めては、ううん唸っております。

さて今日の里芋は、優しい味の炊き合わせに致しましょう。法蓮草は湯掻いて、水洗いして、絞って、適当な大きさに切っておきます。人参と里芋を蒸し茹でにします。さっき法蓮草を茹でた湯がありますから、そこへぽいぽい入れてしまいます。食材が水面から少し顔出す位の水量で大丈夫です。そこへ落し蓋ですが、ペーパータオルは水に濡らすだけで便利な落し蓋になります。その上から鍋蓋をして、火加減に気を付けて、噴き零さない様にします。里芋の火の入り具合は竹串で刺して確かめます。すっと入るなら、火が入った証拠です。一旦火を止めて、この時点で水分がほぼ無い状態ですと理想ですが、残っているようでしたら捨てます。

そこへ今日は酒、みりん、醤油で味付けて、再び火を点けます。今度は鍋を回しながら、全体に味が馴染むようにします。調味料が全体へ回ったなと思ったら、法蓮草投入です。菜箸で少し解して、火を止めます。冷ます間に、具材に味が染み込んでいきます。この間にお台所へ揺蕩う香りの良い事ときたら、食欲をそそります。ああそうだ、味見しておこう、作った責任があるから。と、ちょっと食べてみます。熱々の出来立て、極上の瞬間です。よしよし、美味しく出来ている。さあ、暫しの我慢です。

ある程度まで冷めたら、器へ盛り付けます。はい、今日はこれだけ作りました。

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それでは早速食事にします。今日は和洋折衷に仕上がりました。


献立
・黒米入りごはん
・西利の漬物
・法蓮草のおかか和え
・里芋と法蓮草、人参の炊き合わせ
・野菜の多いトマトソース掛けオムレツ
・デザートに、頂き物の和三盆ぷりん

今冬は冷え込みが厳しく、倉庫で保管していた里芋は少し元気を失くしていましたけれど、奇麗に洗って皮をむき、包丁を入れてみれば中は無事でした。火を入れてほくほく、粘り気も残っていましたし、相変わらずしっかりとした味わいです。よかった。それから季節の青物は矢張やはりピカイチですね。法蓮草がここのところ安価でお財布に優しい上に、葉は柔らかく、茹でてふっくら、根元まで甘味を帯びて大変美味しいです。食卓の彩りにも一役買っておりますし、重宝しています。

「いただきます」

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本日も「ごちそうさまでした」

                      文と料理と写真・いち

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