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長編小説「KIGEN」

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「AI×隕石×大相撲」 三つの歯車が噛み合ったとき、世界に新しい風が吹きました。 それは一つの命だったのか。それとももっと他に、相応しいものが、言葉が、あるのだろうか― 小学校5…
ようこそいち書房へ。長編小説はお手元へとって御自分のペースでお読み頂きたく思います。
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2023年9月の記事一覧

「KIGEN」第五十三回

 思いがけない爆弾だった。会見場は相撲一色に染められていたのに、いきなり毛色の違う、だが…

いち
9か月前
50

「KIGEN」第五十四回

 真っ直ぐJAXAの研究所へ行ければ良かったが、先日の会見の中で理事の十勝がJAXAとの…

いち
9か月前
55

「KIGEN」第五十五回

「同じだよ。源さんも基源も、先代の名から一字貰ってるんだ。俺の場合は少し特殊なもらい方を…

いち
9か月前
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「KIGEN」第五十六回

 奏との契約が結ばれた時点で、JAXAは記者会見を行った。書面で発表してもよかったが、以…

いち
9か月前
45

「KIGEN」第五十七回

  七章 「御機嫌斜め」  基源は定期検査の為に奏と共にJAXAの研究所を訪れて…

いち
9か月前
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「KIGEN」第五十八回

 大相撲は年に六場所行われる。そして合間の期間で巡業といって、全国へ出向いては土俵を作り…

いち
9か月前
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「KIGEN」第五十九回

 こんなにも感情を大きく揺さぶられたのは初めての経験だった。喜怒哀楽の起伏が激しくて、自分の解釈が付いて行けない。怒りに気付いても理解や制御を試みる前に口から態度から表へ勝手に出て行ってしまうのだ。どうしていいか分からなかった。十六歳にして初めて気の落ち込みを体感している基源は今、荒野で一匹のうさぎの様に心許ない。堪らず庭へ降りて植え物の間へしゃがみ込んだ。足元を見つめる内に目が慣れて、自分の影がぼんやり出来ていると気が付く。植木の影も凸凹に並んでいる。試しに手をかざすとそれ

「KIGEN」第六十回

   もう過ぎた事とさしたる関心も見せずに話を切り上げると、十勝は矢留世へ今から少し時間…

いち
9か月前
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「KIGEN」第六十一回

 十勝に指摘されて、矢留世は思わずひゅっと息を吸って噎せた。三河の渋い顔は見なくても想像…

いち
9か月前
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「KIGEN」第六十二回

 不安を搔き立てたのか安心させる気があったのかさっぱりだが、十勝は持論を好きなだけ展開さ…

いち
8か月前
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「KIGEN」第六十三回

     八章 「ライバル」  二〇二七年一月。周囲が早くから予想した通り、ライバルと目…

いち
8か月前
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「KIGEN」第六十四回

「兄さんは強いです。場所中も毎朝必ずしっかり汗をかいてから国技館に入るじゃないですか。自…

いち
8か月前
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