マガジンのカバー画像

食の風景

141
「食の風景」とは、食に纏わる美味しいお話から、料理のあれこれを、時に脱線しながら、思うままに腕を揮っては語っております。レシピは無いけれど、今日も美味しいご飯を一緒に食べませんか。
運営しているクリエイター

#冬

食の風景「おせち2024」

 今年度が終わる前に、滑り込みで今年のお正月の食の風景、掲載させて頂きます。  私の「いつもと違う事がしてみたい」という地味な心の抵抗が、例年通り段取りを組み、台所へ詰めておせちや年越しそばの仕込みをする。という気分を持ち上げません。しかし、諸々を経て、作ることにしました。  作るなら、「おいしい」ものを――今年頂いた美味しいごはんの数々を思い出します。伺ったお店のお台所から生まれた逸品の数々。その手仕事に私は感銘を受けました。丁寧な手仕事。カウンターの場合は客席からも眺

食の風景「畑から食卓へPEANUTPASTE」

こんにちは 昨年の冬の出会いを一つお話させていただきます。 見るからに素敵な食品を見つけました。 何ともお洒落でスマートな小瓶。余計なものは一切入っていない、天然素材のみで作られたピーナツペーストです。 千葉の落花生を未来につなぐピーナッツブランド「Bocchi」の商品です。ここにも「おいしい」を育て、守り、つないでいこうと頑張っておられる農家さまがいらっしゃいます。応援したい。 ピーナツは好物です。このピーナツペーストは一体どんなお味がするのでしょう、大変興味をそそら

「どなた様もご乗車になってお待ち下さい」

 令和四年、年の瀬。今年も、遂に、ここまで辿り着きました。  年越しそばです。  数日前から黙々仕込んできたおせち料理を全て作り終え、最後に仕上げるのがこの年越しそばです。牛肉と長ネギを前日からことことさせて作った醬油ベースのお出汁が家族の集まる居間いっぱいに広がりました。さてさて、それでは、 「いただきます」  おっと、その前に。  今年もnoteで創作を続けながら、多くの御方とお会いし、温かいコメントの数々や励まし、サポート、更には長編小説をお手に取って頂きました

食の風景「肉じゃが食べてから行ったってや」

そんな日々に追われんといて。12月だからって急がんといてや。ああほら、また適当に済ませようとしてるやん。もう、せめて肉じゃが食べてから行ったってや。すぐに出来るで、待っとって。 今日は牛肉の肉じゃがや。肉と玉ねぎと人参は先にサラダ油で炒めるんよ。でも急いでるんやったら全部一気に煮始めたってちゃんとできるから心配いらんわ。そや、蓋忘れんといてや。早う火が入るからな。 ほなちょっと見てみるわ。どや、うまそうになって来てるか?ああ、ええ匂いがしてるわ。しかしあれやな。 色が欲

食の風景「冬暮らし、朝ごはん。」

おはよう 今朝も寒いね。朝ごはん、食べてきた? 今日は久しぶりに朝ごはんを撮影したよ。今わが家には御歳暮で頂いた青森のサンふじと山形天童市のラフランスと和歌山のみかん、それに今年出会ったお気に入りの青森の青りんご「ぐんま名月」があって果物王国なんだ。嬉しいな。 胡桃とカシューナッツには一匙のピーナツペーストを添えるよ。 刺身わかめには黒ゴマ、ほうれん草にはおかかを。そういえばほうれん草が旬を迎えたね。さっと湯がいたほうれん草の色鮮やかなこと、自然美を体現して憚らないんだ

食の風景「寒い朝の卵とじ雑炊」

 公園沿いの銀杏が一息に黄色く染まり、風が吹けばひらひら道へと舞い降ります。ビルの日陰は長く伸び、街にはイルミネーションが灯される季節がやって来ました。そろそろ冬の到来を感じています。  パジャマの袖で手を隠したくなるような冷たい空気に満ちた朝は、あったかくて、ほっとするような朝ごはんが食べたいと思います。  夕べ作った野菜スープを温め直して玉子とじにします。  溶き卵に塩と少々の水を加えておき、混ぜ合わせます。スープがぐつぐつ煮立ったら、そっと回し入れていきます。ふわふ

食の風景「ぶりステーキ」

大分県産養殖鰤の切り身が魚売り場へ並んでおりました。見るからに活き活きとして締まった奇麗な身。そして脂ののりも程よい様子です。宵〆鰤と云うそうです。獲って直ぐに締めるんだとか。道理で鮮度が抜群なはずです。切り身ですから身の状態がよく分かりますが、本当に濁りの無く、張りのある身をしていました。半身の様な塊があればそちらを買いたい位でした。 さて、醤油と味醂の照り焼きにしようか、塩胡椒であっさり焼こうか、迷います。どちらも食べたい。ですが、この鮮度を活かして、魚のお味を存分に味

「食の風景・さつま芋の煮物、柚子仕立て」

焼き芋用に買っておいたさつま芋ですが、煮物が食べたくなったので、職場で使い終えた柚子を頂戴して甘酸っぱいさっぱりとした煮物を作る事にしました。 味付けは三温糖とかき醤油で。 片手鍋に、さつま芋が半身浴する位の水を入れて蓋をして煮ます。余り強火ですと火が入る前に鍋の底が焦げ付いてしまいますからお気を付け下さい。途中刻んだ柚子を入れて風味をお芋にも移します。一緒に煮る事で柚子も食べられる位やらかくなります。だんだんと甘く、それでいてさっぱりと酸味の薫る匂いが漂い始めます。蓋を

「食の風景・年越しそば~丑年」

※わたくし只今年内最後のスキ制限頂いております。皆様の元へ行けず申し訳ございません・・・ 「お待たせしました~年越しそば、熱々をお届けいたします」 大晦日の夜、全国各地でお蕎麦を啜る。みんなでお蕎麦を啜っている。そうであったら面白い。そうであったら安心だ。そうであったら、嬉しいな。 「良いお年をお迎え下さい」                    令和三年 大晦日  いち

「食の風景・牡蠣のみぞれ汁」

 冬の風物詩、海のもたらす美味しい食材、牡蠣です。牡蠣フライ、牡蠣御飯、酢牡蠣。献立全部が牡蠣でも良い位、冬にはどうしても食べたい食材です。何年か前に、殻付きの牡蠣を頂いた事がありました。テレビでそれは見事な手捌きで牡蠣の身を次々外していくのを見た事が在りますが、自分でやるのはその時が初めてです。全部で二十個以上あったと思いますが、初めの内は全く歯が立ちませんでした。そもそも家にあのいかつい殻をさくっと開ける道具がありません。何を使ってどう開けようか、テレビの記憶を思い起こし