学年ビリ2位の中学生を学年2位にした話(第1話:こいつは大変だ。)
そらまめごりらです。
普段は家計のことを中心に書いていますが、たまにはふと思ったり、思い出したりしたことを書こうと思います。
先日、近所でたまたま見かけた、塾のリュックを背負って塾に入っていくのをみて、学生時代に家庭教師をしていたころを思い出したので、ある生徒のことをご紹介します。
何回かに分けてご紹介予定。
第1話「こいつは大変だ。」
そらまめごりら♂が大学4年生のころ、とある年の3月初旬に、親の知り合いが「家庭教師を探している」というので、そらまめごりら♂が家庭教師を頼まれることになった。
時給は2,000円。授業もそれなりに忙しく、遊ぶ時間も確保したいという大学生だったので、高めの時給はウェルカム。即OKだった。
超進学校の医学部を目指す高校3年生だったら断っていたと思うが、4月から中学1年生の小学6年生だったので、できると思った。
家庭教師初日、言われた住所をカーナビ(Gorillaという製品)に入力し、車で片道20分ほどかけて、少し早めに到着した。
地元の地主さんだったため、離れのある大きな平屋建てのお家で、敷地内には車が4~5台は余裕で停められるほどのスペースがあった。
車のエンジンを止め、どきどきしながら、車を降り、ドアを閉めて、鍵閉めたところくらいで、家の中から親御さんらしき女性がでてきた。
「はじめまして、よく来てくれました。」
とても品のよい感じの人でした。こちらも、やや緊張ぎみで、できる限り精いっぱいの、かつ、不自然に感じられない程度の笑顔で「こんにちは。」とお辞儀をした。
顔を上げたときに、ふと、玄関の方に目を向けると、扉から見つからないよう、こちらを覗いている、小さな目が見えた。警戒しているようだ。
大人しそうな小学6年生の女の子だった。女の子の母親に中に入って、少しお話してから早速始めましょう、と言われ部屋に向かった。
広い玄関で靴を脱ぎ、すぐ右の部屋にゲストルームのようなスペースで勉強することになった。広くて、地主の家のにおいがした。
ゲストルームには、大きめの大人が3人ぐらい座れそうな長いソファが対面に配置されていて、2つのソファーの真ん中には、3mくらいの長さの低めのテーブルが置いてあった。どうやらこの机で勉強するようだ。
地主さん親子と自分とが対面になるようソファーに座ったところで、母親が話をはじめた。
「うちの子は、テニスばっかりで、全然勉強ができないんです。小学生のころはよかったんですが、中学生になるとさすがに不安になってきたので、中学生に上がる前から勉強の習慣をつけさせたいと思い、お願いしました。」
その話を聞いて、母親の隣に座っていた女の子に目を向けると、とんでもなく目を輝かせながらこちらを見ている。母親はつづけた。
「テニスは全国大会に行くくらいの実力なので、ここぞというときの集中力はすごいんです。」
なるほど。さっきまではすごく大人しそうに見えたが、今は足をバタバタさせて、今すぐにでも勉強をしたそうにしている。そこで、わたしは、
「わかりました。今日ははじめなので、授業はしませんが、中学生になるにあたりどれくらいの知識があるかを確認させてください。次回以降から本格的にはじめさせていただこうと思います。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」と一言いって、母親は部屋をあとにした。
女の子とは、簡単に自己紹介をした。テニスがどんなにすごいのか気になったので、聞こうと思ったが、「勉強しよう!なにやんの!?」
と、かなり食い気味で勉強をしたい様子だったので、また別の機会に聞くことにした。
「まずは、さっきもお母さんと話したけど、実力チェックからはじめるよ。」と、机の上に準備してあった、白い紙にシャープペンシルで問題をいくつか問題を書いてみた。
34+59=、13/4=・・・、普通の四則演算、分数の計算、九九、旅人算、図形の問題などを問題を解く様子を観察しながら、次々と出していった。
「うちの子は勉強ができない」という場合、ほとんどのケースが、どっかでただつまずいただけ。
だから、はじめは易しめの問題から出題し、視力検査をするように、少しずつ難易度を上げていき、どの段階でつまずいたのかを見つけ出す。
40分くらいたっただろうか。段々と問題を解くスピードが落ちてきた。時間も経っているので、単純に集中力が落ちている可能性もあるが、明らかに勢いがなくなった。ここがつまずきポイントだろう。
結果的には、小学3年~4年にかけてのレベルだということがわかった。
正直、「こいつは大変だ。」と思った。この子のレベルというよりは、時給をもらっている以上、成果を出さないといけないと思っていたからだ。
母親は「勉強の習慣を・・・」と言っていたが、本音を言えば、お勉強もできるようになってほしいと思っているだろう。そのためには、中学生に上がるまでに小学生既習範囲の取りこぼしを潰し切るのが必須条件。
時間がなさすぎると思った。教科を数学に絞り込むことにした。
今回は、算数だけでレベルを推測したが、4教科で一番積み重ねが必要で、ひとつ一つ小さな成功体験を積み重ねながら成長を感じられる科目が算数だからだ。
他の理科、社会については、暗記で強引に成績を引き上げることができる。
国語は、言い換えや逆説、文章を要約して整理する力などの論理的な思考力が必要で、一朝一夕に身につくものではないと考え、勉強の習慣がついてから手をつけることにした。
(最近は、英語が必須になっているが、これも算数同様に、積み重ねの要素が大きい。)
今は、3月。4月の中学校の授業開始まで時間がないので、算数を3週間で、4年分巻き返す作戦を立てることにした。
次回は、「3週間で小学校4年分を挽回した方法」をご紹介します。
ではでは。
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