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縋ってしまう一夜は眩暈

「ねえ、今日この後どこに行く?」

「お前がさそったんじゃん。考えてないのかよ」

「せっかく峻希に会えたから、まだ帰りたくないと思ってね」

「言うようになったね」

「何が?」

「ん?何でもない」

「……私は、ずっとこうやって想いを伝えてたはずだけど」

「……。」「あなたと別れて私辛かったよ」

「……そうかー……。」

「いや、間違い。あなたが突然の前から消えたんだったね。そもそも私達付き合ってないけど、それくらいの関係値だと思ってたよ」

「うん」

「あっ公園。座ってこうよ」

「あっ……懐かしい……」

「……バイト帰り良くここで話して帰ってたね。ここから帰り道が別れるから立ち止まって、喋ってた」

「ねぇ、彰人」

「……はい」

「カッコつけてたタバコも、貴方が吸っていたらカッコよかったと思っちゃった。やけに甘ったるい女性用の香水も、好きだった」

「カッコつけてたわけじゃないけどね……?」

「部屋に残ったその匂いが記憶から消えてくれなかった」

「……なかなかお前もロマンチックなんだな。僕の女々しい所嫌いだったくせに。忘れられないほど、良かったわけ?」

「私は乙女だもん。そうだね、そのずる賢い逃げ方する所含めて忘れられない相手になったよ」

「……あの時お前の連絡先を全部消したのは……」

「いいよ、清算。つまり他の女の人と付き合いたかったんでしょ。それかメンヘラ年上女性にアプローチされた?」

「違くって」

「何があろうとあの時貴方が私を拒絶したのは事実。だけど、なんだっけ?私に恩を売ったままだと嫌で会いに来たんだよね」

「何……?」

「私ね、あの頃と変わったよ。貴方を満足させられるの」

「……」

「もう分からない、お酒のせいにしよう?
レディーキラーなんて言った貴方が悪い」

「……面白い女だねえ、相変わらずめんどくさい所は変わってないけど。分かった、行こう。次こそ忘れられない女になるんだ?」

「うん__。後悔しないで」

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