原稿を完成させないと出られない旅館に閉じ込められた話【文豪缶詰プラン】
在る旅館の一室にて。
カタカタと無機質なタイピング音が響き渡る。
そこには「〆切」という言葉に怯える一匹の見習い作家の姿があった。
なぜ、どうして、こんな事になってしまったんだろう。
私は息抜きと称してこの旅館に足を踏み入れただけなのに。
何が「今日は帰れるとお思いですか?」だ。
あの編集者たちめ、騙したな。
ともあれ、先程から一向にインスピレーションが湧いてこないのは事実である。
どれ、少し休憩がてら部屋の空気でも入れ替えてみるとしよう。
年季の入った木製フレームの窓に