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人が変えられるのは未来だけ?|『マチネの終わりに』


先ほど、一個前に投稿した記事を編集しようとしたら間違って消してしまいました。まあ大した内容ではなかったので全然いいんですけど。
なんだかやるせ無い気分になったので、もう一本書いてみようと思います。


突然ですが、過去を変えることができると思いますか。

多くの人が「できない」と答えると思います。
まあ、普通に考えてみればそうですよね。だって、起きてしまった事実を変えることなんてできない。タイムマシンでもあれば話は別ですけど。

誰しも一度は、
「高校生のとき好きだった子に告白していたら今頃付き合えていたかもしれない」
「違う大学に進学すればもっと楽しいキャンパスライフを歩めていたのかもしれない」
などなど、過去を選択を後悔して過去を変えたいと思ったことがあるはずです。私もよく思います。

でも過去は変えることができないからどうしようもない、と最終的には諦める。
ですが、本当にそうでしょうか。


私が先日読んだ、「マチネの終わりに」という本の中で主人公の蒔野聡史はこう言っています。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものなんじゃないですか?」

過去は人が思っているよりももっと繊細で、未来によっていくらでも変わりうるのだ、ということです。
この文章読んで、妙に納得しちゃいました。

好きな子に告白できなくて付き合えなかったとしても、いつか電車の車内でふとすれ違って再び出会い、結婚するかもしれない。そしてそのとき、あのとき告白して付き合って別れて微妙な関係になるよりも、今出会えて良かったと思えるかもしれない。

今は大学生活を楽しめていなかったとしても、その大学を通じて知り合った人から素敵な就職先を紹介されて、この大学に入って良かったと思えるかもしれない。


そうなんです。

未来の出来事によって、「現在」や「過去」っていくらでも変わっていくんですね。変わってしまう、とも言える。いくらそのとき楽しい思い出でも、後から考えたら消したい過去になってしまうかもしれません。

この本の主人公である蒔野聡史と小峰洋子はそんな風に過去と現在、未来の中で苦しみながらラブストーリーを繰り広げていきます。

先ほどの蒔野のセリフは初めて出会った日の夜に小峰に向けられた言葉です。この2人は長年互いを思い合うのですが、実は3回しか会ったことがないんです。
だから、出会いの夜の思い出が「感じやすく、繊細な」ものとしていつまでも2人の心の中に残っていくんですね。


と、なんとまあ哲学的な話しちゃいましたが、この作品は実話をベースに作られた作品でなんとも読み応えがあります。
ラブストーリーというと、若者の純粋なドキドキ♡ラブコメみたいなものが想像されがちですが、この2人は大人の恋愛って感じです。
大人だからこそ、純粋に好きな気持ちだけで相手を愛することのできない葛藤がうまく描かれていますね。

私だったら、もっと感情に任せて動いちゃうだろうな〜って思ったところがいくつも会ったのですが、これは私がまだ若造なのでしょうか?



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