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「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第16話

「カッパが、で、でた?」その2

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 ほかの釣り場にしようか、どうしようかと迷ったゴダイさんだったが、やはりその場所で釣る事を決めたのだった。

そうと決まると、ゴダイさんは、ポケットから度付きの偏向グラスを取り出してそれをかけた。

このメガネを使用すると、浮きの動きや水中の様子がよく分かるのだ。

そして、早々と釣り支度をはじめると川に糸をたらしたのだった・・・。

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 このような釣り場であるが、どんな場所であろうとも、釣れると噂が上がれば釣りたくなるのが釣り人の性なのである。

しかし、ゴダイさんが釣りはじめてからしばらくすると、曇り空からポツポツと雨が降りはじめた。


 ゴダイさんは、慌てて雨よけのカッパを着用しようとバックから取り出して羽織ろうとしたその拍子にメガネを地面に落としてしまった。

ゴダイさんが、足元に落としたメガネをしゃがみ込んで手探りで探していると、間の悪い事にそのメガネを手ではじいてしまったために。

メガネは、その勢いで川の中へと転がり落ちてしまったのだった。


 ゴダイさんが、川の中へ手をつっこんでメガネを探していると目の前の水中を緑色の何かが通り過ぎた。

視力の悪いゴダイさんが、メガネ無しで得体のしれない何かを見たものだから。恐がりのゴダイさんは、川の中をカッパが泳いでいるのだと直ぐに連想したのだった。

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 それで、カッパが出たとビックリ仰天してしまったゴダイさんは、釣り竿も道具も放り捨てて。

「ギィヤーーー、カ、カ、カッパが出たー」と言って腰を抜かしてしまったのである。

ゴダイさんは、腰を抜かしながらも後ずさりしながら、自転車に飛び乗ると猛スピードでペダルを漕ぎまくって一目散にオンボロ屋敷にやってきた。

そして「キィーーーーー、ガシャンー」と自転車を乗り捨てるとゴダイさんは、ハルオとサクラの名を叫びながらオンボロ屋敷に飛び込んだのだった。


 髪を振り乱しずぶ濡れ姿のゴダイさんをみた、ハルオとサクラも、何事が起きたのかとビックリ仰天したのだった。

普段はゴダイさんに懐いている猫のコムギも、その騒ぎに恐れをなして毛を逆立てて何処かに逃げてしまったようであった。

サクラは、ゴダイさんを落ち着かせようと椅子に座らせると、濡れた体を拭くようにと奥にタオルを取りに行った。

ゴダイさんは、テーブルにいたハルオに向かって

「たた、大変だー。で、で、出た、カッパがでたんだよーーー」と青ざめたた顔で言ったのだった・・・。

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連載小説(不定期)

「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第16話「カッパが、で、でた?」その2
終り

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「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第17話「カッパが、で、でた?」その3へつづく

第15話はこちら

第17話はこちら

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コメント 2020-07-15 154257

2020.10.31 2023.12.22加筆修正











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