三百三十三話 一緒に帰ろう

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


二週間の謹慎が明けて、学校に行くことになった私たち…。

私たちというのはズッ友ギャルの鈴木藍さんと私の2人だけれど。

まず理事長先生といろいろ話して…。

プリズム色の大天使のカードを授かった私たち…。

特定の人物?と絆を紡ぐとカードが出現することがあるらしい。

そのあと、授業を受けることになる教室に向かう…。

担任の田中先生が向かいに来てくれて、案内をしてくれている。

私がもともと転入するはずだった二年薔薇組…。

でも、転入して自己紹介の時に…。

極度の緊張と空腹で、気絶して倒れてしまったのだ…。

それからずっと今まで、保健室登校をしていたのである…。

かなり人見知りの私は新しいクラスに馴染めるか心配だ。

そもそも、また自己紹介がうまくできるか不安でしょうがない。

教室に入るとき、胃がキリキリ痛みだしてしまう始末…。


謹慎明け初日なので、私たちは自己紹介をすることに。

鈴木藍さんがめちゃくちゃ明るい自己紹介をしてくれた。

そのおかげで、私は軽くお辞儀をしただけで …。

自己紹介が済んでしまった…。

本当によかった…。胸を撫で下ろす私…。

一番窓際で後ろのすみっこの席に決まり…。

隣の眼鏡でショートカットの生徒が見つめてくる…。

私はお辞儀を返すけれど、何も言わない…。

ずっと見つめてくるので、無視をすることにした。

ホームルームも終わり、授業が始まる…。

授業タブレットも無事見つかり…。

私は必死に授業に付いていこうとした…。


やっとお昼休みになり…。

昼食をどうしようかと思っていたら…。

隣の眼鏡の生徒が話があるというので…。

学校の中庭に2人で向かった…。

生徒の名前は奥井優子さんという。

クラス委員だということだった…。

奥井さんは私の魔力係数が闇が深すぎる?とか言って。

言い掛かりのようなことを言ってくる…。

しかも、奥井さんは天使を召喚して…。

こちらに立ち向かってくる様子だったので…。

私は最初魔王覚醒システムを使って…。

応戦しようと思ったのだけれど…。

理事長先生から頂いた天使のカードを思い出し…。

それを奥井さんに見せたのであった…。

奥井さんはそのカードを見て、かなり驚いて…。

世界に四枚しかない大天使カードらしくて。

衝撃を受けて、その場から立ち去ってしまった…。


私もびっくりして、中庭のベンチで呆然としてしまう。

そのうち、お昼休み終了のチャイムが鳴ってしまい…。

昼食を食べ損ねてしまうのであった…。

教室に戻り、午後の授業を受けて…。

放課後になった…。

帰る支度をして、藍さんと一緒に帰ろうと思う…。

藍さんに一緒に帰ろうと誘おうと思ったら…。

もう新しい友達ができて、カラオケに行くらしい。

私は奥井さんに襲われ?そうになるし…。

お昼ご飯は食べ損ねて…。

藍さんとも一緒に帰れないので…。

泣きそうになってしまう…。

でも、無理に笑顔で楽しんできてねと言う私であった。

しょうがないので、1人寂しく帰ることに…。


と思って、教室を出たのだけれど…。

なんと花子さんが待っていて、一緒に帰ろうと言ってくれた。

宮園花子さんはある日道で倒れていて…。

私が結果的に助けた女の子であった…。

私たちと同じ学校の生徒らしい…。

「お姉さま!一緒に帰りましょう〜!」

いきなり、私に抱きついてきて…。

そもそもなんで私のことをお姉さまと呼ぶのかも謎…。

でも今日は鬱になりそうな私の気持ちを和ませてくれた…。

ずっと抱き合っていてもしょうがないので…。

帰ろうと、花子さんを促した…。

学校を出て、2人で通学路を歩く…。

もう冬なので、あたりは真っ暗になりつつあった…。

花子さんは私と手を繋ぎたいらしく…。

私の手に花子さんの指が、ちょんちょんと当たってくる。

私はしょうがないので、花子さんと手を繋ぐことにした。

「お姉さま!うれしいです!」

花子さんはすごい喜んでくれているけれど…。

ただ、手を繋いで下校しているだけではないか…。

まぁ、そんな日がたまにはあってもいいか…。

花子さんはこのまま私の住んでる家に行ってもいいのかな?

助けた日も私たちの家に泊まっていったからいいのかも?

そんなことを考えながら、私は帰るのだった…。

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