三百三十四話 季節は巡って…。

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


二週間の謹慎もようやく明けて…。

登校することになった私たち…。

教室で初めて授業を受けることになった私…。

その時に自己紹介をうまくできるかな?と思っていた。

けれど、ギャルでパリピな鈴木藍さんの自己紹介が…。

思いのほか、クラスメイトに受けていて…。

私の自己紹介は有耶無耶になり…。

お辞儀だけで済んでしまうのだった…。

はぁ、よかった。ない胸を撫で下ろす私…。

ホームルームが終わり授業が始まる…。

タブレット端末で授業を受けるので…。

必死になってついていく私であった…。


やっとお昼休みになり…。

昼食をどうしようかと思っていたら…。

隣の眼鏡の生徒が話があるというので…。

学校の中庭に2人で向かった…。

生徒の名前は奥井優子さんという。

クラス委員だということだった…。

奥井さんは私の魔力係数が闇が深すぎる?とか言って。

言い掛かりのようなことを言ってくる…。

しかも、奥井さんは天使を召喚して…。

こちらに立ち向かってくる様子だったので…。

私は最初魔王覚醒システムを使って…。

応戦しようと思ったのだけれど…。

理事長先生から頂いた天使のカードを思い出し…。

それを奥井さんに見せたのであった…。

奥井さんはそのカードを見て、かなり驚いて…。

世界に四枚しかない大天使カードらしくて。

衝撃を受けて、その場から立ち去ってしまった…。


午後の授業も終わり…。

帰ろうと思った私…。

藍さんと帰ろうと思ったのだけれど…。

藍さんはもうクラスメイトと打ち解けてて…。

これからカラオケをしに行くという…。

私は陰キャなので…。

そんなパリピの集まりに行くわけにはいかなかった。

今時のカラオケで歌う曲なんて知らないし…。

藍さんは今の流行の曲なんでも知ってそう…。

曲も知ってて、ダンスとかも踊れちゃうのかな?

陽キャの藍さん、なんでもできそうだし…。

カラオケも盛り上がるんだろうなぁ…。

私が行ったら、逆に盛り下がりそう…。

私は指を咥えて、藍さん達がカラオケ行くの見てるだけだった。

せっかく藍さんと一緒に帰ろうと思ったのに…。


私は一人寂しく帰ることにした…。

教室から出ると、なんと宮園花子さんがいて…。

花子さんは道で倒れていたのを私が助けた子だ。

一緒に帰ろうと言う…。

一人寂しく帰るのもアレなので、いいよと答えた…。

花子さんは嬉しいのか、私に抱きついてきて…。

大きすぎる胸を押し当ててくるのだった…。

花子さん、まだ高校生なのに胸もお尻も大きすぎる…。

胸とか垂れてるぐらい大きいのだ…。

貧乳の私への当て付けかー!?

まぁ、花子さんも悪気があってやってるわけではないだろう。

私のことをお姉さまと呼んで慕ってくれる…。

なんでお姉さまなのか、すごい謎なのだけれど…。


学校を出ると、もう辺りは真っ暗になりそうだ。

もう冬で、日暮れが早い…。

花子さんは私の横に並んで歩いている…。

花子さんはモジモジして、私の手を触ってくる…。

もしかして、手を繋ぎたいのかな…?

たまには花子さんと手を繋いで帰ってもいいか…。

そう思って、私は花子さんの手を握ってあげた…。

そのまま手を繋いで、下校する…。

春に神田ミカエル女学院に転入して…。

藍さんが友達になってくれて…。

こうして、花子さんと一緒に帰る仲になって…。

春の時は桜が満開だった通学路も…。

落ち葉が舞っていて、落ち葉が絨毯みたいに敷き詰められている。

色々あったけれど、季節が巡るのって早いなぁ…。

そんなことをしみじみと考えてしまう私…。


「お姉さま。そんな憂いを秘めた瞳をしてどうしたんですか?」

花子さんが私の顔をじっと見つめている…。

憂いを秘めた瞳って…。私そんな感じに見えているのか…。

「いや、なんでもないよ。もう冬だなぁーと思って…」

あははは、と誤魔化しの笑いをする私…。

「冬は寒くて人肌恋しくなりませんか?」

そう言うと花子さんは、私にギュッとくっついてきた…。

うわぁぁ、またすぐに抱きついてくるんだから…。

花子さんの豊満な胸の感触が、制服越しに感じる…。

そして、名前の通り花のようなすごいいい匂いがする花子さん。

うぅ、花子さんすっごいかわいいし、でも私は…。

私には好きな人がいるし…。まだ諦めきれてない…。

それにズッ友の藍さんもいるし…。ダメだよこんなの…。

私は首をぶるぶるっと横に振って邪念を追い払った…。

そんな感じで歩いていたら…。

私の住む家が見えてきた…。

学校から数分なので、すぐに着いてしまうのであった…。

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