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ショートショート

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#短編小説

『夢の中の記憶』ショートショート

『夢の中の記憶』ショートショート

夢の中に公園が出てきた。

その公園は学生の頃、片思いだったクラスの女の子と、よく喋った思い出の地だ。

いつも女の子は、公園のベンチに座りながら読書をしていた。何十年も前の話だ。

久しぶりに行ってみようと、公園へ向かった。

すると、あの頃のようにベンチに座る買い物帰りの妻がいた。

学生の頃のように、妻に話しかけた。

園ひさや

『秘境』ショートショート

『秘境』ショートショート

私は秘境にやってきた。

なんでもそこには、外の世界とは完全に遮断されている原住民が暮らしているらしい。

どれどれ、いたいた。

彼らはなんとも不思議な様相だ。

言語も違うので、意思疎通は図れない。

彼らは独自の文化を形成している様だ。

何やら鉄の箱で運ばれるている。

そして、小さな箱に向かって何か手を動かしている。

そんな事を8時間あるいはそれ以上やっている。

しかも、彼らは週に5

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『答えの先』ショートショート

『答えの先』ショートショート

「あそこのレストラン美味しいのかな?」

「ちょっとネットで評価見てみようよ」

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「この映画って観る価値あんのかな、どれレビュー評価は」

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「どうしたら、この事業は軌道にのりますか?」

「私の起業成功本を読めば、たちまち成功します」

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「私は今後、どんな人生を生きればいいですか?」

「答えは自分で見つけるべきだよ」

園ひさや

『逃げ道』ショートショート

『逃げ道』ショートショート

俺は、”俺が創りたい物”を創るだけだ。

大衆に迎合した物なんか創らねぇ。

そうして俺は、今年も落選した。

園ひさや

『例え話』ショートショート

『例え話』ショートショート

地球に一機の宇宙船が降り立った。
人々は恐怖心と共に、それ以上の好奇心を持ちながら、宇宙船から出てくるであろう生物を今か今かと待っていた。

宇宙船の扉が上へと開き、見るからに宇宙人といった形状の生き物が二人出てきた。
地球人を代表して、大学で宇宙学を研究する教授が接触を試みた。

「どうも、遠路はるばるご足労いただきましてご苦労様です、私たちはあなた方を歓迎いたします」
何を考えているか分からな

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『何年後?』ショートショート

『何年後?』ショートショート

「きゃー!」
女性の叫び声が聞こえ、A男は直ぐに聞こえた方を振り返った。

女性の前には露出した男が立っているではないか。
A男は露出魔に駆け寄り、すぐさま取り押さえた。

2年前から習っている護身術の成果が発揮できて、内心嬉しかった。
「お前、なにやってんだ!警察呼ぶからな!」
A男は押さえながら露出魔に言った。
露出魔は何も言わず、A男の力に抵抗した。

「すいません、そこの貴方」
A男は通り

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