Netflixに学ぶ自由と責任の文化。あなたは、6ヶ月後の組織を定期的に考えているか
最近話題になっていたNetflixの『Netflixの最強人事戦略』、あらためて社内の経営会議で課題図書として輪読してみました。
Netflixといえば、Facebook COOのシェリル・サンドバーグからも「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたカルチャーガイドで有名でですよね。まさにこのカルチャーガイドがつくられた過程が事例とともにより詳細に語られているのが今回の著作。
個人的なまとめ
読んでみて、個人的なまとめは以下の通り。特に、『「今から6ヶ月後に会社はどう変化していかなければならないか」を定期的に考える』というのは経営に携わるうえで習慣化していきたいな、と思いました。 ※実際に輪読の感想をシェアした際にも、このテーマでの議論が一番白熱しました。
・「今から6カ月後に高い業績を挙げるために会社はどう変化していかなければならないか」を定期的に考える
・会社全体や事業の課題を、チームメンバーにオープンにかつ継続的に伝え、双方向にコミュニケーションする
・自ら模範を示し、間違いを率直に認める。自分が何をもとに決定を下したのか、どこで間違ったのかを説明する
・チームで最高の成果を出すために、すばらしいメンバーと切磋琢磨できる機会と環境をつくる
・チームづくりを成功させるために、すべての職務に優れた人材を配置することを尽くす
・リーダーはフィードバックの伝え方を練習し、具体的で、建設的で、善意が伝わるような方法で話す
・面接を心に強く残る経験にする。面接するすべての候補者にこの会社に入りたいと思ってもらえるようにする
以下、8章ある本書の章末のまとめのうち、参考になると思った第1章から第6章までのまとめを引用します。
第一章:成功に貢献することが最大のモチベーション -従業員を大人として扱う
メンバーの最大のモチベーションの源泉は、チームで切磋琢磨しながら成功に貢献し成長できる機会をそろえること。当たり前ながらその通りですね。
・チームが最高の成果を挙げられるのは、メンバー全員が最終目標を理解し、その目標に到達するために、思うままに創造性を発揮して問題解決にとりくめるとき
・チームのやる気を最大に高めるのは、優れたチームメンバーが、つまり、ともに切磋琢磨しながらすばらしい仕事ができるメンバーがそろっていること
・経営者の最も重要な仕事は、ともに切磋琢磨しながらすばらしい仕事ができるハイパフォーマーだけをチームにとりそろえること
・無駄な方針、手順、ルール、承認をできる限り排除する。トップダウンの指揮統制奉仕委はスピードと機動性の妨げになる
・たえず実験を繰り返し、できる限り無駄をそぎ落とす。方針や手順を廃止したあとで必要とわかったら、元に戻せばよい
第二章:従業員一人ひとりが事業を理解する -課題が何であるかをつねに伝える
「他部署で何やってるかわからないよね」「経営陣って何やってるか見えないよね」はよく聞く声。ランサーズでも、先月から「経営オープン・フラット会議」と称して「この1週間どんな意思決定をどんな考えで行ったか」を15分で社長からチームリーダー20人に伝えてQ&Aをやる会を始めました。
・どんなレベルの従業員も、自分とチームの任務だけでなく、事業全体のしくみや会社が抱える課題、競争環境などを大局的に理解することを望み、必要としている
・事業のしくみを正しく理解することが、何よりも大切な学習。それはどんな「従業員の能力開発」研修よりもためになるし、おもしろい。この知識が、高い業績と生涯にわたる学習の起爆剤になる
・経営陣と従業員のコミュニケーションは、本当の意味で双方向でなくてはならない。リーダーが質問や提案を歓迎し、気軽に意見を言い合える雰囲気づくりに努めれば努めるほど、レベルにかかわらずすべての従業員が、驚くようなアイデアやひらめきを与えてくれる
・部下が何もわかっていないように思えたら、それはたぶん、知るべき情報を知らされていないからだ。必要な情報を与えよう
・あなたが従業員に事業の現況や問題点を(よかろうが悪かろうが)伝えていなければ、彼らはほかからその情報を得るだろう。そしてその情報はたいてい間違っている
・コミュニケーションの仕事に終わりはない。1年、1四半期、1カ月、1週に1度行うだけの仕事ではない。円滑なコミュニケーションは競争優位を支える
第三章:人はうそやごまかしを嫌う -徹底的に正直になる
陰口を言わない、言わせない、ということ。「誰かに何か文句や言いたいことがあるなら、その人に直接言って」という姿勢は良いですね。
・従業員は事業や自分の業績について、ありのままの真実を告げられても対処できる。彼らが聞く必要があり、聞きたいと強く願っているのは、ありのままの真実なのだ
・正直に、適切なタイミングで、面と向かって気になる点を伝えることに勝る問題解決法はない
・徹底的に正直な姿勢は、緊張を和らげ、陰口に歯止めをかけ、理解と尊敬を深める。徹底的に正直な姿勢は、胸にしまわれていた反対意見をあぶりだす。そうした意見は重要な発見につながることも多い
・部下の仕事ぶりに問題があるとき、それを本人に直接ありのままに伝え、マネジャーやほかのチームメンバがミスをカバーするはめになり、不当な負担を強いられる
・話し方に気を配ろう。リーダーは批判的なフィードバックの伝え方を練習し、具体的で、建設的で、善意が伝わるような方法で話そう
・同僚同士でフィードバックを送りあえるようなシステムをつくろう。ネットフリックスでもシステムをつくり、年に一度のフィードバック・デイを設けて、全員が送りたい相手にコメントを送っている
・みずから模範を示し、まちがいを率直に認めよう。また、自分が何をもとに決定を下したのか、どこでまちがったのかを説明しよう。そうすれば部下は上司と真っ向から対立する考えや意見であっても率直に話してくれる
第四章:議論を活発にする ー意見をはぐくみ、事実に基づいて議論を行う
議論が活発に行われるような会議に、というのは原理原則ではわかっていてもなかなか実践できないもの。人数を絞る、事実から始める、あえて違う立場に立ってみる、など具体的なtipsが色々あって参考になりますね。
・経営判断をめぐる白熱したオープンな議論に参加するのは、チームにとってスリリングな体験だ。チームは分析力を最大限に発揮してこれに応えるだろう
・議論のルールを明確に定めておこう。参加者はしっかりした主張をもち、その根拠を提示できるようにしておく。憶測ではなく事実に基づいた議論を展開すること
・参加者はお互いの見解や議論されている問題について、憶測するのではなく、直接説明を求めよう
・議論では私心をもたず、必要とあれば自分の主張を捨て、議論に負けたことを率直に認めよう
・議論を企画しよう。参加者に人前で意見を表明させる。舞台上で行ってもいい。逆の立場から議論させ、自分の主張の穴を見つけさせるのもいいだおう。十分な準備をしてのぞむフォーマルな議論が、画期的な発見につながることもある
・事実に見せかけたデータに注意しよう。優れた結論を得られるかどうかは、データの質にかかっている。人は自分の先入観を裏付けるようなデータに目をとめる傾向にある。厳格な科学的基準を満たすデータだけを採用しよう
・議論は小集団で行うのが一番だ。誰もが遠慮なく発言できるし、黙っているととても目立つからだ。また大人数で行う場合よりも集団思考に陥りにくい
第五章:未来の理想の会社を今からつくり始める -徹底して未来に目を向ける
冒頭でも言及しましたが、「今から6ヶ月後に高い業績を挙げるために会社はどう変化していかなければならないか」を定期的にじっくり考える、というのはわかっていてもできないもの。ランサーズでも少し先のことだけをとりあげて考えて決める「経営未来前進会議」なるものを、週次の経営会議とは別に2019年から始めてみています。
・敏捷さを保ち、変化にすばやく対応するために、将来必要になる人材をいま雇おう
・「今から6カ月後に高い業績を挙げるために、会社はどう変化していかなければならないか」を定期的にじっくり考えよう。頭の中で映画をつくり、従業員がどんな仕事をしていて、どんなツールやスキルをもっているのかを想像する。次に、その未来を実現するために必要な変革を今すぐ実行に移そう
・人数を増やしても仕事の量や質が高まるとは限らない。人数は少なくても、優れたスキルをもつハイパフォーマーをとりそろえたほうがよい場合が多い
・マネジャーは成功しているスポーツチームを手本にしよう。スポーツチームはたえず新しい人材をスカウトし、布陣を入れ替えている。マネジャーの仕事はチームをつくることであって、家族を養うことではない
・チームメンバーのなかには、会社がめざす未来に高業績を挙げられるような人材に成長しない人もいる。そうしたメンバーの能力開発に投資するのは会社の仕事ではない。製品と市場の開発が会社の仕事である
・業績にとってベストだと思えば、社内の人材を開発・登用しよう。社外から採用したほうがよければ、迷わずそうしよう
・従業員一人ひとりが自分の能力開発に責任をもつのが理想だ。これができれば、従業員と会社の双方に最適な成長が望める
第六章:どの仕事にも優秀な人材を配置する -すべての職務に適材を
優れた人材とは必ずしもA級人材であるとは限らない。チームのニーズにもっとも合致した人材を採用するという、当たり前のことがなかなか人事はできていない。採用基準を明確にしつつ、一つひとつのポジションニーズに対して適切なチェックが働くようにすることは大事ですね。
・採用担当マネジャーの最も重要な仕事は、ハイパフォーマーを採用することだ。採用担当マネジャーは、率先して人材パイプラインを開発し、採用プロセスのあらゆる面で指導力を発揮するべきだ。リクルーターの指揮者は彼らである
・時代を先取りできるチームや企業は、人材プールをつねに補充している
・従業員定着率は、チームづくりの成功を測る指標として不適切だ。最もよい指標は、すべての職務に優れた人材を配置できているかどうかだ
・ときには多大な貢献をした人材であっても解雇して、新しい業務のハイパフォーマーや異なるスキルをもつ人材を採用しなくてはならないことがある
・ハイパフォーマーを採用するには、ボーナスやストックオプション、高額の給与、昇進の確約でさえ、決め手にならない。ほかのハイパフォーマーとチームを組んで学びあえること、仕事が楽しいと思えることが、最も強力な決め手となる
・優れた人材を採用するとは、「A級プレーヤー」を採用することではない。チームのニーズに最も合致した人材を探すことだ。あるチームにとってのハイパフォーマーは、ほかのチームにとってはそうでないかもしれない
・履歴書にとらえわれてはいけない。工夫していろいろな場所で人材探しをしよう。職務歴を掘り下げよう。幅広い経験を検討し、基本的な問題解決能力に目を向けよう
・面接を最初から最後まで、心に強く残る経験にしよう。面接するすべての候補者に、この会社に入りたいと思ってもらえるようにしよう
・リクルーターは、どんなに専門的な事業であっても、そのしくみを周知しているビジネスパーソンでなくてはならない。採用プロセスに協力する、創意あふれる積極的なパートナーでなければならない。どんな人材が必要かをリクルーターにくわしく説明すれば、すばらしい見返りが得られる
最後に
経営会議のような場で、気になる本を輪読にかけて、単なる感想というだけでなく自社にとっての「Start(始める)、Stop(止める)、Continue(続ける)」をまとめる、というのスタイルは経営陣の価値基準や意思決定wayをあわせていくうえでとても有効だな、と思いました。ぜひ皆さんも、会社のチームメンバーと一緒に輪読などしてみてはいかがでしょう?
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