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意識が分散しやすい「オンラインレッス」でできる工夫を大公開!【後編】

【前編】では、
・オンラインレッスンは、「自分の最も居心地の良い環境で受けられる」のがメリットだけど、「色々なものが目に入り気が散る環境でもある」というデメリットがある。
学習者を授業に集中させる工夫
について詳しく書きました。
以下のリンクから是非!


【後編】では、
学習者を授業に集中させる工夫の一つとしてやっている、
【学習者一人一人に合わせて、授業の内容や方法・流れを変えていく】
についてお話しますね!


1対1の学習者の例:Aさん

Aさんの学習に取り入れているマインドマップ

Aさんは、製薬会社で営業のお仕事をしている30歳の女性です。
彼女はまだ初級なので文法や単語もあまり多くは知らないのですが、
会話が好きで、ずっと話し続けることができます

彼女の素晴らしいところは、躊躇いなく話せるところです。

簡単な文法や単語を使って、間違いを気にせず話し続けることができます

とてもクリエイティブな彼女ですが、焦ってしまうところもあります。

なので、
彼女にはマインドマップを使って、関連性のある単語と単語を結び、頭でイメージしながら話せるようにしています

授業で出てきた新しい単語を、マインドマップを使って整理することを宿題にします。
そうすると、
「先生とのどのような話の流れで、この単語がでてきたっけ?」とか、
「あの時、先生と笑いながらこの単語使ったな~。」とか、
その単語や表現を使った場面も一緒に思い出し、記憶がより深まります

1対1と言っても、一人一人の得意なことや好きなことが異なります。
なので、その人をじっくり観察し、日頃からよくコミュニケーションを取り、その人が楽しみながら理解が深まるような学習方法を提案してあげることが大切です。



同僚6人グループレッスンの例


同僚6人グループのオンラインレッスンもしています。
台湾企業で、最近日本企業との合併が決まり、日本人との会議などコミュニケーションが増えそうだということで、日本語を学ぼうと有志が集まり始まったクラスです。

申込み時のヒアリングでは、窓口となる方から情報を得ていました。
皆「0初級」とのことだったので、50音と基礎会話という当校定番のやり方で始めることに。それに更に、社内の日本人との会話を想定しながら、内容を少しアレンジして進めていく方向で考えていました。

しかし実際に初回のレッスンが始まってみたら、6人中3人は日本語に慣れている感じ
平仮名もけっこう読めて、挨拶などもよく知っている様子でした。その内の1人は50音は全てわかり、自己紹介から始まる基礎会話の内容もできていました。

レッスン後窓口の方に聞いてみたところ、「AさんはN4レベルの内容まで日本語学校で勉強したことがあるそうだ。」と言っていました。

つまりこの6人グループの中には、2人が0からのスタート、3人は50音も日本語での会話も少し知っている、そして1人がN4という構成であることがわかりました。

N4レベルの学習者をAさんとします。窓口の方が「Aさんには50音と基礎会話が終わってから合流してもらいましょうか。同じ費用を払ってAさんはただその時間を過ごすだけになってしまうのも心配ですし。」との相談をいただきました。
私は「そのまま参加してもらいましょう。それぞれに学びが得られるような内容を振っていくことにするので。」と答え、Aさんにそのまま続けてもらうことになりました。

例えば、50音の文字を1文字ずつ書き順を表し、みんなで何回かずつ書いてもらっている時間には、
Aさんに「じゃ、この『な』が付く単語、何がありますか?」と振って、時間を持て余すことのないようにします。
私が「わかりますか?」と聞いた際にある人が「わからない」と答えたときに、「この前皆で練習したのは『わかりません』でしたが、Bさんは『わからない』と答えましたね。じゃ、Aさん、『わかりません』と『わからない』の違いは何ですか?」というような質問をしたりもします。

Aさんも毎回このような私からの質問に完璧に答えられるわけではなく、曖昧だったり「わかりません」と答えたりすることもあります。Aさんの新たな学びにもなるし、他の学習者たちの知識も一緒に増えて、とても楽しくレッスンを進めていくことができています。

このクラスは私ともう一人の先生が週に1回ずつ担当しているので、もう一人の先生にもそのようにしてもらっています。



教師は一人一人の様子を常に観察

学習者を観察すべし!


このように、1対1であっても1対複数であっても、
・レッスン中の表情
・こちらを見ているか
・手元ばかり見ていないか
・横のコミュニケーションはどうか などなど
教師は一人一人の様子を常に観察していることが必要です。

また、文や文章を読ませる前や読ませた後、その文に出てきた既出の表現を確認したり、それに関連して知っていることを話してもらったりするようにしています。

文をただ読ませるのではなく、
「それを読んだ後に、考えて話すという作業が待っている。」と意識させながら読んでもらうことも工夫できるところです。


はい。いかがだったでしょうか。

こちらが楽しいことや役立つことをいくら言っていても、学習者が他のことに気を取られて全然集中できていなかったら、学びの質は低いものとなってしまいますよね。

先ずは、「集中できる環境作りや授業の進め方の工夫」をしてみてくださいね。



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