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沖縄の表と裏

名護から、R329で東に向かった。西から東に沖縄を横断して、そこから、R441で北に向かった。途中で、慶佐次湾のヒルギ林を見学して、さらに、北に向かった。
ここから先、辺戸岬まで、マップルには、パイナップル畑とか、公衆トイレとか、売店のことしか書いてなかった。楽天トラベルで調べても、宿泊施設は全然なかった。二日前に走った那覇と名護の間には、10km毎に岬があって、おいしいハンバーガーも食べられた。地図で見ると、お互いの位置は、沖縄の中心を挟んで、ちょうど反対側にあった。表と裏みたいだった。
沖縄の裏側は、実際に走ってみても、本当に、何もなかった。道は、海の近くを通っているけど、海は見えなかった。いかにも沖縄の山の中、いう景色が続いた。いかにも、というと、特別な感じがするけれど、言い換えると、他の県とは、ちょっと違うだけの、沖縄の普通の山の中、ということだ。他の車にも、ほとんど会わなかった。すれ違う車より、ヤンバルクイナ飛び出し注意、の標識の方が多いくらいだった。信号は、相当長い区間、なかった。たぶん、慶佐次湾のヒルギ林から、辺戸岬まで、一つもなかった。そんな、何もない景色の中、緩やかなカーブが続く道を、淡々と走った。
それがよかった。昨日まで、10kmおきに観光地に寄ったり、雨が降るからと言ってジタバタしたり、いろいろ考えすぎた。ここには、走ること以外、何もなかった。道は一本だから、考えることもなかった。きっと、ツーリングが終わったら、どんな景色だったのか、あまり思い出せないだろう。そういうのが、よかった。

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