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なんだかんだで善光寺参り

寝る前に、明日のルートを確認した。ツーリング最終日なので、特に何の予定もなかった。長岡の最寄りのインターから高速に乗って、自宅の最寄りのインターで下りるだけだった。
しっくりこなかった。今日の後半が、ずっと雨だったせいだろうか。もう少し、走りたかった。明日の天気予報を見た。天気は回復することになっていた。
長岡には、以前、泊まったことがあった。その時は、次の日に、戸隠でそばを食べて、松本までは高速を使わずに走った。戸隠は、混雑していて楽しくなかったけど、鬼無里で食べたいろは堂のおやきは、おいしかった。そうやって、長岡から、高速を使わずにツーリングしてから家に帰ったことがあるのに、なぜ、長岡から家まで高速しか使わないルートを立てたのか、理由が思い出せなかった。たぶん、ルートを考えるのに飽きたんだろう。鬼無里で、おやきを食べて帰ることにした。
戸隠を通らずに、鬼無里でおやきを食べてから帰るルートを組み立てるために、地図をめくった。善光寺、という文字が目に飛び込んできた。牛にひかれて善光寺参り、の善光寺。もしかすると、今の私が行くべきところは、善光寺なのかもしれない。雨に降られてすっきりしないから善光寺参り。善光寺って、そんな感じで、勢いで行くところだと聞いています。牛にひかれて、とか、そういう、その場の流れで。
ルートを考えてみた。いろは堂に行くのをあきらめれば、善光寺に行けそうだった。正確な距離や細かい時間までは考えていないけれど、明日はツーリング最終日だから、多少帰りが遅くなっても、家にたどり着ければ大丈夫。こんなでも、牛にひかれていくよりは、十分、計画的なはずだ。
 
次の日の朝、ホテルを出発するとき、小雨が降っていた。そのあと、すぐに、昨日の後半のような本降りになった。こんなことなら、おとなしく高速に乗って帰ればよかった、と思った。
一時間後に、雨は止んだ。雨が上がったら、すぐに青空が広がった。何も考えずに高速で帰っていたら、この天気は悔しかっただろうな、と思った。
この日のルートは、適当に選んだ道のわりに、走りやすくて、景色もよかった。野尻湖の脇を通る細い道では、景色のいい展望台にも寄れた。
善光寺に着いたのは、10時ちょうどだった。駐車場は満車だった。バイクのスペースだけ空いていた。
参道も、たくさんの人でにぎわっていた。混雑していても、にぎやかな感じで、雰囲気は悪くなかった。10月末なので、七五三のお参りに来た親子連れをたくさん見かけた。どの子も、きれいにおめかしして、かしこそうだった。両親と手をつないで、うれしそうに歩いていた。親子連れは、4日前にも、日光東照宮でたくさん見た。あっちでは、親子が、お互いに根拠のない自己主張を繰り返し、両者ともにただ疲弊するだけ、という、負のスパイラルをたくさん見た。
おびんずるさんを撫でて、御戒壇巡りをして、山門の「善光寺」という看板の写真を撮って、参道をゆっくり歩いた。参道には、出店がたくさんあった。ゆっくりと、順番に見ていると、いろは堂の店が見つかった。鬼無里のおやきはあきらめたのに、善光寺でいろは堂のおやきが食べられるとは思っていなかった。これなら、鬼無里に行ったのとだいたい同じだ。善光寺に来て良かった。
昼食用に、舞茸のおやきを一つと、お土産用に、茄子と野沢菜のおやきを一つずつ買った。山門の手前の、参道の脇のベンチに腰かけた。舞茸のおやきを食べた。舞茸のおやきは、とてもおいしかった。旨味が強くて肉を食べているようなだけど、脂っこくなくて、歯ごたえも良かった。
これは、うまい。ぜひ持って帰って、妻に食べさせたい。お土産のおやきは、舞茸に変更だ。とすると、お土産のおやきが3つになっちゃうな。お土産のおやきは3つもいらないからな、野沢菜は、食べちゃってもいいかな。食べちゃおう。うん、うまい。やっぱり野沢菜は間違いない。
さて。
すみません、舞茸のおやき、もう一つください。

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