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鹿島神宮には、いろいろある

鹿島神宮の駐車場から参道を進むと、最初に、本殿があった。
参道は、さらに奥に続いていた。大きな杉の木に囲まれた参道は静かで、伊勢神宮の参道を思い出させた。
鹿島神宮は、鹿島、なので、鹿がいた。神社仏閣に鹿がいる、というと、真っ先に思いつくのは、奈良の大仏だ。あっちは鹿が放し飼いだけど、鹿島神宮では、動物園のように檻で囲まれた中で飼育していた。
鹿の檻の前には、さざれ石が飾ってあった。霧島神宮でさざれ石を見たときは、貴重な石だと思っていた。それが、筑波山神社にもある、と知って、昨日、わざわざ見に行った。鹿島神宮にもあるとは、知らなかった。日本中に、さざれ石は、あと何個くらいあるんだろう。3つのさざれ石の中では、鹿島神宮のものが、一番立派だった。
参道をさらに進むと、要石、という石が地面に埋まっていた。その昔、その石を掘り出そうとしたら、地面の下に埋まっていた部分がとんでもなく大きくてあきらめた、という言い伝えがある、と看板に書いてあった。要石の見えている部分は、手のひらよりちょっと大きいくらいだった。地面に埋まっていて、少しだけ見えている神社の石、というと、高千穂神社の鎮石を思い出す。鎮石は、超一級のパワースポットとされていた。要石はどうなんだろう。周りには、スマホを見ながらうろうろしている人がたくさんいた。ポケモンGOのポケモンを呼び寄せるパワーは、あるみたいだった。
参道の終わりには、御手洗池、という、地下水の湧き出す泉がある。地下水の湧き出す泉と言えば、…、知らないなあ。その昔は、ここで手を洗ってから参拝したから、御手洗池という、と看板に書いてあった。だとすると、参道の入り口は、正式にはこっちじゃないのか、という気がした。こっちが入り口なら、本殿が、参道の一番奥にあることになるので、つじつまがあう。
御手洗池は、子供用のプールくらいの大きさの池だった。水が透明で、中が全部丸見えだった。池の底にいるザリガニも、はっきり見えた。しばらく眺めていると、鯉がゆらゆらと近寄ってきた。水が透明なので、空中に浮いているみたいだった。
鯉が出てくると、ザリガニは、明らかに緊張した。池はきれいすぎて、水草も全然生えていなかった。ザリガニは、丸見えのまま、はさみを振り上げて、じっと構えていた。詳しいことはよくわからないけれど、それでは、身を守っていることにはならないそうだった。
ザリガニの察知している身の危険が、実際に彼の身に降りかかったら、そこには、しかるべき運命が待っているはずだった。どうなるのか、見届けたかった。わりと長い時間、池の中を眺めていた。何匹もの鯉がザリガニの上を泳いでいたのに、誰もザリガニに反応しなかった。そのザリガニが、自意識過剰なだけだった。
御手洗池の水は地下水で、池の奥の土手のところから湧いていた。湧き水は、煮沸すれば飲める、と看板に書いてあった。バックパックの中に、さっき飲み干したペットボトルが入っていた。明日の朝は、湧き水でコーヒーだ。

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