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無人の有料駐車場

洲崎灯台の周りには、1台200円の有料駐車場が、いくつかあった。どれも、自分の家の庭先を駐車場として開放しているだけのものだった。そのうちの一つの駐車場に、バイクを止めた。駐車場に入っても、誰も出てこなかった。駐車場の入口に、料金を入れるポストが置いてあった。料金は、自分で入れる仕組みだった。払わなくても、たぶんバレない。
似たような仕組みに、野菜の無人販売がある。あれも、お金を払わない人がいるらしい。全然払わない人もいるし、100円払うふりして、1円だけ入れる人もいるらしい。どっちかというと、1円だけ入れる人の方が、せこい。どっちにしろ、そんなふうにして盗んだ物を食べてうまいんだろうか。私だったら、道に落ちているものを拾って食べたような、嫌な気持ちになる。
一方で、都会には、オフィスグリコ、というものがあるらしい。大きなオフィスビルの中にあって、仕組みは野菜の無人販売と一緒で、グリコのお菓子を売っている。好きなお菓子を取って、お金は自分で払う。こっちは、みんな、ちゃんと払うらしい。
農家の人が善意で格安で提供している野菜は、格安なのに盗む奴がいて、一方で、都会の真ん中では、定価で提供しているお菓子の無人販売がうまく行っている。これは、アレか。灯台下暗し、か。ちょっと違うか。
で、洲崎灯台の駐車場はどうかというと、ポストがすごくボロボロだった。あまりにボロボロなので、ここにお金を入れても、誰も回収しないんじゃないか、と思った。こんなにやる気がないんなら、お金払わなくてもいいんじゃないの。悪魔のささやき、というより、普通に、そんな気がした。払いましたけど。

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