ここはどこですか
美瑛に近づいたら、交通量が増えた。信号も増えた。気温も、少し上がった気がした。
R237を南に向かった。ここからジェットコースターの路、という看板を見つけて、右折した。ジェットコースターの路、というのは、パッチワークみたいな畑の中のまっすぐな道が上ったり下ったりするのが、ジェットコースターみたいに見えるところらしい。右折したあと、二回ほど、坂を上ったり下ったりした。次の上り坂の上に、路上駐車している車が数台と、道路脇をフラフラと歩く人たちが見えた。路肩の開いているスペースを探すのが面倒なので、そのまま通り過ぎることにした。道路脇を歩く人の動きが読めないので、坂の頂上の手前から徐行した。坂を越えたら、道路の真ん中に座って、写真を撮っている人がいた。その先の道路の真ん中に、新郎新婦が立っていた。
ジェットコースターの路の次は、青い池に向かった。道道353は、山の中の気持ちの良いワインディングで、他の車も、ほとんど見かけなかった。
青い池の駐車場は、7割くらい埋まっていた。観光バスも、何台か止まっていた。青い池は、最近できた観光地で、遊歩道が、きちんと整備されていた。一方通行になっていて、人が多くても観光しやすかった。青色の池の中に朽木が立つ景色は、不思議で、神秘的だった。でも、景色がきれいに見える場所は、順番だ。景色の中に入り込むようにして、じっと見ることはできなかった。そのせいかわからないけれど、青い池は、自然が偶然に作り出した奇跡の景色、には見えなかった。自然のやることは、人間が考えるより、わざとらしいことも多い。それでも、その造形に、いつも驚かされて、見入ってしまう。そんな、他の景色と、青い池は、何かが、少し違う気がした。
青い池を見た後は、道道966を南に向かった。白鬚の滝を見たあと、林の中のワインディングを走って、吹上露天の湯に着いた。砂利敷きの駐車場には、駐車スペースの線が引いてなかった。邪魔にならないように、手前にバイクを止めた。駐車場で、服をできるだけ脱いで、露天風呂に向かった。
露天風呂は、2つあった。上の段の湯船は、熱めで、5人くらい入れる広さ。下の段は、ぬるめで、10人くらい入れる広さだった。露天風呂の奥には、脱衣所の代わりに、すのこを敷いたスペースがあった。そこで、残りの服を脱いだ。
吹上露天の湯は、北の国からのロケでも使われた、有名な無料の露天風呂だ。コタン温泉のように、貸切、というわけには、いかなかった。上の段では、真っ赤な体の人が、風呂の横の床に、仰向けになって寝ていた。下の段では、3人くらい、湯船に浸かっていて、5人くらい、湯船の縁に腰かけていた。下の段の奥の方にすき間を見つけて、腰を下ろした。山の中の、囲いのない露天風呂は、開放的、なはずだけど、景色を見ようとすると、裸のオジサンが、何人も視界に入って、あまり良い景色ではなかった。隣の人との距離を気にしながら、斜め上の、空を見上げた。
私は、洗い場も脱衣所もない無料の露天風呂は、観光地の展望台みたいなものだと思っている。雰囲気を味わって、体がほんのり温まったら、さっと上がって、場所を譲る。吹上露天の湯は、窮屈で、居心地も良くなかったので、そういうときは、展望台の滞在時間も、短くなった。私が温泉に浸かっている間に、2組ほど客が来た。私より先に上がった人は、一人もいなかった。風呂の縁に腰かけて、体を冷やす人が何人もいる様子は、近所のスーパー銭湯の露天風呂みたいだった。
露天風呂を出発して、山を下りた。今日の晩飯を買うために、富良野の近くのセイコーマートに寄った。セイコーマートに入ったときに、今は北海道ツーリングの最中だ、というのを思い出した。
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