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滝談義

華厳の滝は、有名な滝です。日本三大名瀑の一つにも数えられています。三大名瀑のもう一つは、あの有名な那智の滝です。そして、あとの一つは、未定、とのことです。
その、未定の枠が残る三大名瀑の中で、確定枠に入っている華厳の滝は、エレベーターに乗らないと、観瀑台に行けなかった。エレベーターは570円。わりと高かった。エレベーターに乗って観瀑台に行く、というと、大げさな気もするけれど、袋田の滝でも、第二観瀑台に行くときに、エレベーターに乗った。袋田の滝では、第一観瀑台に行くときも、有料のトンネルを通った。ちなみに、袋田の滝は、三大名瀑の残り一枠の候補、という説もあるらしい。
エレベーターで下に降りて、観瀑台から華厳の滝を見上げた。観瀑台は3階建てになっていた。どの階から見ても、見える景色は、ほとんど同じだった。だったら1階だけでいいんじゃないの、と思った後で、3階建てだと、最前列が3倍に増えることに気が付いた。できるだけたくさんの人に、効率よく、良い景色を見てもらいたい、という、観光地の方々の、心意気と、華厳の滝への愛と誇りが伝わってきた。
全国に名をとどろかすだけあって、華厳の滝は、とても立派な滝だった。日本三大名瀑の一枠を確定させているのも納得だった。滝の高さは、那智の滝の方が高いみたいだけど、それでも十分に高くて、水量も多く、迫力があった。滝を取り囲む岩と、紅葉の始まった木々が、いかにも日本的な景色で、日本庭園のようだった。滝や、渓谷の景色を見ると、日本庭園のようだ、と思うことが多い。日本庭園のことには詳しくないけれど、そういう自然を庭に再現するために作られているんだろう、というのは、こういうところに来ると、よくわかる。
完成された日本庭園のような景色を見ていると、犬飼滝を思い出した。華厳の滝を見て、犬飼滝を思い出すとは、私の滝ソムリエとしての観察眼も肥えてきたものだ。
これは、よくない。
これは、この作文みたいに、上から目線で滝を評価して、この作文みたいに、何かあると他の滝を見た経験をちょいちょい見せびらかして自慢して、最終的には、どこで何を見ても、前に見たあっちの方が良かった、と偉そうなことをいうパターンだ。あれ、かっこわるいから、嫌だ。
いつまでも、どの滝を見ても、滝スゲー、滝カッコイー、とだけ言っていたい。

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