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若くはない

マップルで、ご飯の上に、茶筒のような円筒形のかき揚げがそそり立っている写真を見たときは、ちょっと笑ってしまった。あらあら、という感じだ。魚河岸丸天のかき揚げ丼は、見た目のインパクトが強烈で、見なかったことにするのは難しかった。写真をよく見ると、円筒型のかき揚げの直径は、丼に対して、少し余裕があった。丼の大きさから、この円筒形のかき揚げの直径は、普通のかき揚げより小ぶりなことが推測できた。そりゃそうだ。食べきれないような大きなかき揚げを作っても、意味がない。
土産話を作るつもりで魚河岸丸天に行って、かき揚げ丼を頼んだ時までは、そう思っていた。かき揚げ丼が出てきて、間違いに気が付いた。円筒形のかき揚げの直径は、普通のかき揚げと、だいたい同じだった。10cm近い直径の、15cmくらいの高さの円筒の形をしたかき揚げが、ご飯の上に、そそり立っていた。丼の直径は、そのかき揚げよりも、少し余裕がある、ということなので、それはどういうことかというと、ハイ、その通り、丼がでかい。それは、すなわち、ご飯も多い。出てきたときに、工夫のないサイズ感に苦笑いした。あらあら、という感じだ。
かき揚げ丼をテーブルに置いた後、店員さんが、食べるときは、かき揚げを横に倒してくださいね、といった。とりあえず、そそり立つかき揚げの写真を撮った。食べ物の写真を撮る、という行為については、各方面からいろいろと意見があるが、このかき揚げは、写真に撮られるために立っていた。下手に倒すと丼から飛び出しそうなかき揚げを慎重に倒した。天つゆをかけて、一口いただいた。その瞬間、最大の驚きが訪れた。
これは、普通だ。
特に、何の工夫もない、普通のかき揚げだった。丸天のかき揚げ丼は、マップルに載っていた写真に驚き、実物のサイズに驚いたけど、ここが一番、驚いた。笑えなかった。おやまあ、という感じだ。
こういうことは、要約してはいけないんだろうけど、要約すると、魚河岸丸天の名物のかき揚げ丼は、盛り付け方に特徴がある、普通のかき揚げ丼の大盛り、ということになる。
オジサンはね、最近、油物がしんどくてね、お腹がいっぱいになる前に、胸やけの方が先に来てしまって、半分しか食べられませんでした。

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