じっと待つ

朝起きて、窓の外を見た。昨夜の天気予報通りに、雨が降っていた。
天気予報によると、天気が回復する見込みはなかった。グズグズしても、いいことはない。荷物を詰めて、服を着た。大深沢展望台に、カーナビをセットした。すると、大回りしたあげくに、たどり着けていないルートが表示された。拡大すると、赤丸の中にバッテンの入ったマークが表示されていた。
カーナビがこんなふうになるのは、２日前も見た。２日前と同じように、ツーリング中は検索しない、の禁を解いて、調べた。この時期の八幡平アスピーテラインは、８時半開門だった。２日前の蔵王の御釜と同じだった。御釜の時は、８時開門で、８時前に到着予定だった。アスピーテラインは、８時半開門で、７時に到着予定だった。そこが違った。
いったん、服を脱いだ。７時にアスピーテラインを通る予定を、８時半に変更したら、そのあとの予定がどうなるか、落ち着いて計算した。他のところの観光の時間を短くすれば、何とかなりそうだった。今日は、一日中雨だから、観光はあまりできなさそうだった。出発を遅らせることにした。
ホテルのベッドに腰かけて、待った。ツーリング中は、スマホ禁止なので、やることが何もなかった。ツーリングマップルを手に取った。さっき、予定を見直す時にさんざん見たので、すぐに飽きた。視界の隅に、昨日の夜に、ガムテープでぐるぐる巻きにしたブーツが目に入った。雨が浸みてくる予感がした。応急処置したところを補強したくなった。でも、こういうのは、下手にいじりすぎると、かえってよくない。手を出さずに、我慢した。
何もすることがない、といって、何かすることを探す、という考え方が、良くない。何もやることがないなら、何もやらない。昔は、そういうのができたはずだ。子供の頃は、どうでもいいことを頭の中でクリクリと考えて、ぼーっとしている間に、あっという間に時間が過ぎていた。主に、授業中に。あ、いや、授業中は、やることがなかったわけではないけれど。何も結果を出していない時間が無駄だから、といって、無駄に結果をひねり出す必要はないのに、無駄に動こうとしてしまう。普段、仕事しているふりばかりしているから、そういう考え方が、こびりついている。あ、いや、仕事も、しているときはしているけど。
とか、グダグダ言っているうちに、思ったよりも早く、時間は過ぎていった。昔できていたことが、できなくなっているのに気が付いて、悲しくなることばかりの今日この頃だけど、ぼーっとしているだけで時間をやり過ごすことは、まだできるみたいだった。