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アクアラインの真実

この世界には、海の上をまっすぐに伸びる道は、長ければ長いほど、爽快で気持ちが良い、という決まりがある。
その決まりに則ると、木更津から川崎に向かって、派手に東京湾の真ん中を横切るアクアラインは、派手に爽快で気持ちが良い、ということになる。ここは、今回のツーリングでも、クライマックスのひとつだった。
実際に通ってみると、爽快、ではなかった。天気が悪いからか、交通量が多いからか、道幅が広すぎるのか、海の向こうの景色が工業地帯だからか、そういうのが全部組み合わさった結果なのか。とにかく、爽快ではなかった。なんというか、普通の高速道路だった。
トラックの間に紛れて走って、海ほたるに着いた。海ほたるは、巨大な海上の空母のようだった。駐車場が地下にあるところも、空母らしかった。エレベータで展望台に上がって、東側の景色を見た。上り坂になっているアクアラインが、まっすぐに房総半島に向かって伸びていた。その向こうに、ツーリングで走り回った房総半島が見えた。展望台の反対側に回って、西側の景色を見た。海の向こうに、東京が見えた。
そこに、橋は、なかった。
皆さんは、知っていましたか。海ほたるから川崎までの間、アクアラインはトンネルなんです。橋じゃない。全部橋だと思ってた。木更津から川崎まで、海の上をひた走るつもりだった。途中からトンネルなんて、それじゃあ、何のために東京湾の真ん中を派手に横切っているのか、意味が分からない。海は、橋で渡るもんだ。それがロマンってもんだ。ここは、端から端まで橋だろう。話が違う。

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