見出し画像

ヴェネツィア映画祭でモンゴル舞台の映画

昨年は引っ越しなどで忙しくて、映画どころではなかったが、今年は2年ぶりにヴェネツィア映画祭へ、映画を見に行ってきた。

レッドカーペット前で、スターが出てくるのを待つ人たち。

ここ数年はヨーロッパ映画が多いものの、プログラムを見ると、今年は日本映画も何本かきているし、アラブ圏などの映画も割とある。もしかしたら見落としているかもしれないが、意外にも韓国映画は1本もないようだ。

そんな中、モンゴルを舞台にした映画を見つけた。

『TO KILL A MONGOLIAN HORSE』

(写真は上のタイトルにリンクされているビエンナーレ公式サイトより)

この作品は「ヴェニス・デイズ(Giornate degli Autori)」というコンペティション部門に出品されている。この部門は革新性や表現の独創性などに優れた、質の高い作品を取り上げることを目的としており、新人監督などにもチャンスのある部門。

この部門の作品が上映されるペルラ・ホール(Sala Perla)。

映画はジャン・シャオシュアン(姜晓萱)という若い中国人女性の監督によるもので、サイナという実際に彼女の友人の物語を、この友人自身が主人公となって演じる実話である。

羊飼いをしていたが、より安定した収入のために、観光客向けの乗馬ショーの乗馬パフォーマーなることを決めた男性、および家族の心の葛藤などを描いたものである。

美しいモンゴルの草原の風景、しかしとても厳しい自然の中で羊や馬を飼っていくことの大変さが非常によくわかる。そして若者たちは、結局は安定した収入のために、あるものは都会に出たり、あるものは鉱山労働者となったりしていくのである。

『モンゴル馬を殺すには』(日本では一応このタイトルのよう)というタイトルを聞くと、日本人の私たちには『スーホの白い馬』が思い浮かぶのではないだろうか。子供と白い馬と、殿様や富裕層という対象は異なるものの、伝統的な生活を守りたいものの、観光客、隣国の大きな資本に屈せざるを得ない状況を描いているのは、共通点があるように思える。

一度モンゴルへ旅行へ行って、ゲルに泊まったり、乗馬ショーを見てみたい!なんて思っていたが、ちょっとこの映画を見たら、どうしようかと考え直してしまった(いや、でもやはり一度行ってみたい)。

私は帰らなければならなかったので、すぐに出てしまったが、この部門では上映後に監督および主演俳優などへのQ&Aコーナーが設けられている。

観客たちと一緒に会場で作品を見た監督とキャストたち。

主人公のサイナさんもいたので、話を聞けないのは残念だった。
この「ヴェニス・デイズ」部門は、会場に入る前に投票用のカードが配られる。観客の票も審査に入るのだ。
私もそっと、出るときにカードを投票箱に入れてきた。


ちょうどこの映画を見に行った日は、ヴェネツィアの伝統であるゴンドラレース「レガータ・ストーリカ(Regata Storica)」が午後いっぱい開催されていた。
見出し画像は映画祭からの帰りに、レースを終えた船を見かけたので、パシャリ。

夜の7時過ぎだけど、まだ結構明るい

この記事が参加している募集