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短歌(和歌)と散文

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2024年3月の記事一覧

【短歌】ぼくの泪を誰も知らない—令和6年春の自撰—

【短歌】ぼくの泪を誰も知らない—令和6年春の自撰—

奪われしもののあまりに多かりき盛りを知れず朽ちてゆく花

あたたかい手もほお寄せる肌もなく泪は枯れてため息ばかり

冷えきった氷の壁が厚過ぎて未だに浮上できないクジラ

ちょうど良い関わり方が分からない愛してもらえたことがないから

今日もまだ起き上がれない今日もまだ自殺はしないのと引き換えに

遺言が書き終わらないそれだけで死でない方に居続けてゐる

良い子でいなければ生きられなかったぼくの泪を

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【短歌】花の雨こそあはれなりけれ

【短歌】花の雨こそあはれなりけれ

妖気みつ春の心をなぐさむる花の雨こそあはれなりけれ

(不穏な気配に充ちた春の落ち着かない心を和らげてくれる、そんな桜の季節に降る雨こそは本当に趣深い)

今日は久しぶりに雨が降りました。この歌は昨春のちょうどこのような雨の朝に詠みました。

私は元々古語で詠む和歌の世界に強く憧れ続けていました。現代口語で短歌を作るようになったのはつい最近のことです。

この歌が厳密に和歌と呼べるものであるかどう

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