(小説)なんじゃろうにい②
「また行くんかな。ぎょうさん取ってこんでもええで。もう義兄さんはおらんのじゃけえ、あげる人もおらんのじゃから」
ばあさんに小うるそう言われるのにも慣れとる。年を取って膝が痛うて歩くのに難儀をしょうても、口だけは達者で細けえことまで言い募るけえ、勘弁してくれと言いとうなる。せえでも、ええとこもあるし、たまにゃあええことも言うんじゃ。
「義兄さんが、あーよう、あーよう言うて呼ぶ声が、わたしゃあ、忘れられんわあ。そう呼ばれたら、お父さんがあにき、あにき言うて答えて、仲のええ兄弟じ