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風景のレシピ #28 “Extra Dry”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #28 “Extra Dry”

調理時間:4時間

材料:
乾いた空気:全体的に
砂山:たくさん
街並み:適宜
バイパス:一本
窓枠:ひとつ
テーブル:一台
石:数個
本:約20冊


1.暗闇に窓を一つ開け、あらわれた広大な空間に乾いた空気を満たす。


2.砂山を盛り、よく日光にさらす。
  山のふもとには人もまばらな寂しい街並みを並べる。


3.左右にバイパスを通し、働き者の中古車を放流する。


4.窓のすぐそばには今にも枯れそうな潅木を生やし、室内にはテーブルを置き、拾い集めた石を横一列に並べる。


5.テーブルの下には本を並べる。一冊だけ青い本を混ぜておく。


調理のコツ
*そこに暮らす者のように


風に吹き上げられた、砂混じりの空の色
工場や映画館らしき建物もある
誰かのコレクション
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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