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風景のレシピ #35 “New Year”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #35 “New Year”

調理時間:3時間

材料:
暗闇:全体的に
様々な灯り:適宜
流星群:一群
建物:数軒
人物:10人程度
無人の電車:一輛
時計:ひとつ


1.冷たい空気に晒しておいた暗闇を、全体によく伸ばす。


2.うす灯りの点いた建物を並べ、その隙間を通りにする。手前は大きくあけて広場にする。


3.誰も乗っていない電車を広場に停車させる。


4.さまざまな灯りを散りばめる。空からは流星群を降らせる。広場には真夜中の針を指す時計をひとつ。


5.そぞろ歩く人々を好きな場所に置いていく。あなたもそこに居るかのように白い息を吐いて、できあがり。


*調理のコツ
眠っている人を起こさないように


薄く緑色を帯びた車内の蛍光灯
去年降った雪がまだ残っている
灯りの見本帳のような通り
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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