本多桃子(Sodas.jp)

リトアニアの伝統麦藁装飾「ソダス」の不思議に魅せられ、探求する日々と雑記。

本多桃子(Sodas.jp)

リトアニアの伝統麦藁装飾「ソダス」の不思議に魅せられ、探求する日々と雑記。

最近の記事

30年前と、20年前の預言

(前回からの続き) スウェーデンでは、1990年代当時、すでにワークライフバランスが整っていて、職種によるが日本でいう一般的なサラリーマンでも、平日は早ければ16時、遅くとも18時までには仕事を終え、帰宅する。平日は体力気力ともに仕事をこなすのが精一杯、というわけではなく、仕事を終えた夜でも趣味にいそしんだりするのが普通のようだった。ホストマザーやホストシスターも、仕事や学校を終え夕食をとったあと、水泳やインドアテニス、陶芸教室なんかに通っていて、ときどき私もついていって陶芸

    • 思い出はグーディスとともに

      クリスマスまでもう1ヶ月を切った。数日前、スウェーデンから黄色い段ボール箱が届いた。スウェーデンからならAmazonではないよなあ、なんだろう、と思いながら差出人欄を見ると、今をさかのぼること30年前の1990年代前半、交換留学で1年間スウェーデンの高校に通ったときにホームステイさせてもらっていたホストファミリーからだった。3家族の連名。ホストマザー、ホストブラザー、そして同い年のホストシスター家族だ。箱を開けると、当時私が好んで食べていたお菓子(グーディス)が詰まっていた。

      • 新たなステージに

        2022年も残すところあと数日。 今日は今年のソダス活動を振り返って、感じたことを。 今まで、「リトアニアという国からお墨付きをもらっている」ということで、自分の作品を作るときに何となくとらわれていた「リトアニアの伝統的なソダス」という枠。展示やワークショップを行うときは、きちんと裏どりのできた「リトアニアのソダス」についての歴史や言い伝え、そして伝統的なソダスに対するリスペクトは忘れずに発信しつつも、今年は「伝統的なソダスづくりをなぞる」ところから「本多桃子のソダスを生

        • ざっと近況報告、と小さなライ麦畑

          昨年末クリスマス、noteでも何度も触れてきた、あれだけ気に入っていた東京のマンションに別れを告げて、鎌倉へ引っ越した。 (追記: ベランダについては、チラッと見返したら思ったほど書いていなかった。書きかけの下書きがいくつもあるだけでした。) 理由はいろいろあるし温度差も各自あるにせよ、家族全員、便利で居心地のよい東京の家は大好きだけど、娘は成長し夫もリモートワークが増え私も家で制作…、と各自もう少しパーソナルスペースがほしいね、次へ行ってもいっか、という気持ちになったこ

        30年前と、20年前の預言

          キーワードは「植物」

          BS朝日『東京ベランダストーリー(現ベランダストーリー)』では、ベランダ主の「マイベランダ」を紹介するというだけではなく、主が大都会東京でベランダに手を入れながら暮らすに至った経緯を掘り下げる、何気に深い番組なのであった(失礼)。なぜベランダで植物栽培なのか、普段自分で考えることのない動機についても今回あらためて振り返る、よい機会となった。 「なぜベランダで植物栽培?」このシンプルな質問。朝起きて、朝食を作り洗濯物を干し、必要に応じて植物に水をやる。自分にとって掃除機や洗濯

          キーワードは「植物」

          「東京ベランダストーリー」に出ることになった

          怒涛の2020年が終わり文字どおりそのまま2021年になだれこみ、もう立春も過ぎてしまった。今これを書きながら目の前に広がる私の小さなベランダの植物たちも、半数以上が葉を落とし、おだやかな冬の日差しを静かに浴びながらじっと春の訪れを待っている。 もう2ヶ月も経ってしまったのだけど、12月に出演した「東京ベランダストーリー」について。 こちらのnoteは、Instagram内のソダスアカウント@sodas.jpに連動しソダス関連のことを綴っている体なのだけれど、私が今こうし

          「東京ベランダストーリー」に出ることになった

          モーガンが亡くなった

          藁フェス日記の冒頭でも触れた、カリフォルニアのロングビーチにある世界中から1万点を超える藁アート作品のコレクションを有する、American Museum of Straw Artの創始者で館長でもあり、長年に渡り藁フェスInternational Straw Art Festivalを世界各国で開催してきたモーガンことMorgyn Owens-Celliが、先日、長きにわたる闘病の末、亡くなった。 昨年の藁フェスが終わり、帰国した後、モーガンを含む参加者のボブーテたちや、

          モーガンが亡くなった

          ソダスに使う麦藁について

          ソダスやヒンメリは、麦藁の稈に糸を通し組み立てていく立体造形だ。重なる材料は、麦藁と、糸。今日はそのうちのひとつ、麦藁についてのおはなし。

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          ソダスに使う麦藁について

          一本の藁が運ぶ幸せーMagic of Straw in リトアニアで出逢ったひと、ドリス

          アメリカはカンザス州から参加していた、麦藁で物作りを始めて40年以上になるというドリス(↓左端の女性)。

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          一本の藁が運ぶ幸せーMagic of Straw in リトアニアで出逢…

          一本の藁が運ぶ幸せーMagic of Straw in リトアニアで出逢ったひと、ラリッサ

          レトロな麦藁帽をかぶりたたずむマダムはロシアから参加していたラリッサ。自己顕示欲の旺盛なタイプが多いロシア組の中、口数少なく自己主張控えめなキャラクターが異彩を放っていた彼女。

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          Magic of Straw in リトアニア⑯幻の聖なる蛇

          一般公開の藁マーケットが一日開催される藁フェス最終日、参加者が出店できるマーケットを一巡りし、みんなと雑談しながらめぼしいものを購入、コーヒーとケーキで一服した後、夜の便で一足先にリトアニアを発つリョウコさんとヴィリニュス旧市街を駆け足で観光することにした。

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          Magic of Straw in リトアニア⑯幻の聖なる蛇

          Magic of Straw in リトアニア⑮最終日のマーケット

          2019年7月27日、土曜日。 22日月曜日から6日間の藁フェス、インターナショナルストローフェスティバル inリトアニアもいよいよ最終日。 世界各国からの参加者による麦わらを素材としたワークショップ、リトアニアの伝統的麦わら装飾ソダスにちなんだ首都ヴィリニュスや地方ツアー、と毎日盛り沢山のプログラムで駆け抜けてきた日々も、今日で終わり。 プログラムの最後は、連日ワークショップが開催されていたヴィリニュス国立保護地区センターのお隣り、ヴィリニュステックパークの中にあるミ

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          Magic of Straw in リトアニア⑮最終日のマーケット

          Magic of Straw in リトアニア⑭白昼夢と眠らないボブーテたち

          ヴィダとアルーナスが自宅兼ユシュカ博物館として公開している家は、今独裁政権問題で揺れるベラルーシを源に、リトアニア南部を縫いバルト海に注ぐネマン川のほとりの、小高い丘を中心とした小さな村にある。川岸からなだらかな坂を少し上った丘の中腹にある、鬱蒼と木々の生い茂ったその場所は、道路から少し下がっているが裏庭の一部は道路より小高い丘になっていて、向こうに目をやると木々の間からリトアニアの森や草原が広がり、そこを縫うように流れるネマン川を一望することができる。小高い丘にはリンゴなど

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          Magic of Straw in リトアニア⑬ネマン川のほとりで

          リトアニアの首都ヴィリニュスから西へ約200キロ、スヴァルキヤ地方にあるザナビカイという小さな村の荘園博物館に来ている。

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          Magic of Straw in リトアニア⑬ネマン川のほとりで

          Magic of Straw in リトアニア⑫今に生きるソダス

          藁フェス5日目、7月26日金曜日。早いもので初日から全力疾走の藁フェスも、残すところ今日を入れて2日。一日ワークショップ三昧の次の日は外出の日、という緩急つけたメリハリあるプログラムのおかげで飽きずに、何より遠出の日は神様がご褒美をくれたかのように天気がいいのも手伝って毎日これ以上ないコンディションで過ごせている。 今日はまた、一昨日のように朝食後貸し切りバスで日帰り遠出の一日。ザナヴィカイという、ヴィリニュスから200キロ西の村にある荘園博物館を見学し、リトアニアの伝統料

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          Magic of Straw in リトアニア⑫今に生きるソダス

          Magic of Straw in リトアニア⑪渾身の作品たちに圧倒される

          午前中の涙は何だったのか、バルコダスの気持ちのよい(天気が良い日は昼食をとるには暑いくらいの)テラス席で、あっけらかんと昼食をとる参加者たち。そのカラッとしたさまは、まるで日本と違う湿度の低いヨーロッパの夏のようだ。こっちがまだよ、あっちはフォークがないわ、とスタッフにおせっかいをやきながら、手元に来た昼食の鶏胸肉をみな、今日も飽きることなく頬張っている。鶏肉は好きなので平気だけど、こうも毎日鶏胸肉だと、他の肉や魚を使った郷土料理なんかをリトアニア人は日常的には食べないのかも

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          Magic of Straw in リトアニア⑪渾身の作品たちに圧倒され…