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初めての転職ーー。決意したきっかけは「カンブリア宮殿」

こんにちは。マイノリティという会社で代表をやっている柳澤といいます。

暑い暑いお盆に、これを書いています。

まだ40歳そこそこですが、自分のこれまでについて振り返ってみると、まあ運と挫折と、また運と…みたいな起伏がたくさんありました。

新卒で苦しみながら、転職するとすごくうまくいって、でもなぜか左遷されて、そこから盛り返して20人くらいの部下を持ってマネジメントもいい感じだったんですけど、そこでまた組織を壊してしまう…。

そんなでこぼこの社会人経験について備忘録的に書いてみます。このへんのストーリーからの続きですね。

新卒の頃は「営業」が大嫌い。でもその後、なんとか自分なりのやり方を見つけて克服していったという話を前に書きました。

しんどさは入社後の5月がピーク、しばらく体調を崩して休んだあとに、あと1ヶ月、もう1ヶ月…と続けていたら、少しだけ仕事のたのしさが見えてきました。「こうすればいいんだな」というのがわかってきて、休職するほど辛かった営業の仕事を結局、3年半くらいやりました。

そんな僕はしだいに「そろそろ転職したい」と思うようになります。営業という仕事はデータを使うとこんなにおもしろくなるんだ、という気づきが得られて、すごく手応えが出てきた頃です。

で、そのタイミングで転職しようと思ったのは、じつはきっかけが2つあって、1つはボーナスが支払われなかった事件?が起きたことです。


振り込まれないボーナスとカンブリア宮殿と

といっても、未払いとかではなくて、会社が悪いわけではないです。もともと絶対にボーナスがもらえるっていう会社じゃなかったんですよ。思えばいつも曖昧で、出るか・出ないかわからないまま、なんとなく振り込まれていました。

毎年6月か7月だったと思うんですけど、支給される日は決まっていました。でも、ある年は何も言われないまま、振り込みの日が過ぎていきました。

小さい会社でしたが、さすがに社長には聞きづらいので、上司に聞いたら、「今年は支給されないらしいよ」みたいなことをさらっと言われて。

当時は社会人3年目くらい。1回で数十万円もらえるのって大きいじゃないですか。支払われないにしても、何もなかったかのような空気なのが信じられなかった。

いま思えば、もともと給与の条件として明文化されてるわけでもないし、タイミングによっては支払われないなんてこともあります。業績が芳しくなかったとか、理由はいくらでもあったと思います。

ただ若い頃の僕は何度も銀行の残高を確認して、いつになっても振り込まれないことにショックを受けてしまいました(笑)まあナイーブだったと思います。

そんなタイミングでもう1つのきっかけがきました。たまたまテレビで「カンブリア宮殿」という番組を見ていたら、あの「キーエンス」を特集していたんです。そのときにはじめてキーエンスという会社を知りました。

無駄な訪問はしないとか、データで営業先を決めるとか、自分の考えていたことと同じことを、何千人という組織でやっている会社があることに驚きました。もちろん僕が知らなかっただけでキーエンスにとっては昔から当たり前の営業手法だったわけですが。

気合と根性みたいな営業会社にも慣れてきていたのですが、営業利益率50%を超える営業の総本山、最先端の会社はどんなところなんだろうと俄然気になりました。そして、自分もそういう会社で営業を極めたいと思うようになりました。

リーマンショックの直前になんとか滑り込む

ただ、転職活動をはじめてみてわかったのは、まず「キーエンスは中途で営業を採らない」ということです。またもショックでした。

でもいろいろなエージェントさんにお会いして話を聞いていくなかで、キーエンスの社内ベンチャーで立ち上がったITビジネスの会社があることを知ったんです。

結局いろんな会社を受けて、たくさん落ちたりもしたんですけど、キーエンスへの熱い思いはあったので、そこの会社から内定をもらうことができました。キーエンスグループのイプロスという会社です。

入社したのは2008年11月のことです。いま思えば絶妙のタイミングでした。その直後にリーマンショックがきました。一気に不景気になり、中途採用はストップしました。きっとあのときにカンブリア宮殿を見ていなかったら、いまの僕はなかったと思います。

当時は社会人3年目なので第二新卒に毛が生えたくらいのものです。僕は営業のプレイヤーとして入社しました。イプロスは期待した通り、すべての営業手法がキーエンスと同じやり方でした。自分の理想の「営業の世界」がそこにあったんです。

本当に超合理的です。過去に誰が・誰と・どんな話したのか、どんな理由で成約したのか、あるいは失注したのか、すべてのデータが揃っていました。

テレビで見たように「無駄な営業はするな」という思想で、徹底的に効率を追求していました。悪く言うと遊びがないみたいな感じもあるんですけど、ただその分、オンとオフのメリハリがすごくはっきりしていて、その考え方とやり方が自分の肌にすごくあっていました。

イプロスでの営業は本当にたのしくて、「この仕事でお金をもらえていいんだろうか」と思うくらい、天職でした。

実際、キーエンスの何がすごいのか

キーエンスってすごく有名な会社ですが、営業利益がすごいらしいとか、平均給与がすごいらしいとか、まことしやかに言われるだけで、結局なんの会社かよくわからないですよね。

要はセンサやマイクロスコープなどのプロダクトを製造して、工場を持つ法人に販売するBtoBのメーカーです。東証プライムに上場しています。

じゃあ何がすごいのか。一言でいうと、当たり前のことをめちゃくちゃ忠実に実行するんです。

それだけ?と思われるかもしれませんが、本当に特殊なことは何もやってないです。

ただし、その当たり前のことを限界までやりきるっていうのを、仕組みで実現させています。たとえば、一般的に営業って外に出ると何してるかわからないものなんですが、もちろんGPSでトラッキングされていました。

営業は基本的にテリトリー制で、エリアを振り分けられています。さらに営業効率を上げるために1日5件のアポイントを取らないと外に出れません。5件取ったら、その5件をまとめて商談するために外出するんです。商談の時間も9時・11時・13時・15時・17時という5つの枠に区切られています。

なので週のうち月曜日と火曜日は事務処理とテレアポをして、水曜日から金曜日は1日5件フルで回ってくることの繰り返し。営業マンに下ろされてくるKPIのような目標数値もその行動量をやらないと達成できないようにできています。

ただ、その行動量をちゃんとやれば、7割くらいの人は基本達成できるようにやり方が確立されていている。

ちなみにまったく長時間労働ではないです。1日9時間から10時間くらいの普通の業務量です。ただお昼休憩以外は隙間なく、ぎりぎりまで根を詰めて働くという文化はとても根付いています。

なので一度慣れてしまえばすごくやりやすいんです。自分がやりたかった営業がここにあるんだなって最初の半年ぐらいで思いました。そんな組織の中で働いていると、この仕組みを作った人が本当にすごいことに気づかされます。

もちろんビジネスモデルも、商品もオンリーワンでした。競合に勝てる自社商品があるのは間違いありません。競争力のある自社商品に、この営業の仕組みを組み合わせると、ここまで強くなれるんだと思い知りました。

順調だと思ったら、突然の左遷

転職は大成功だったと思います。自分の理想とする営業スタイルの会社で、これはたのしいぞ!と思いながら働いていると、やっぱり成果が出るものです。

新卒の会社でなんとか自分なりの営業を実践してきて、少しずつ結果が出てきた。ほんのわずかな自信だけを抱えて、より本場の世界にチャレンジしたいと思って飛び出しましたが、まさに自信が確信に変わりました。

3年ほど営業のプレイヤーを経験したあとは、順調に営業リーダーになり、次は営業マネージャーというステップを踏みました。

さて、はじめに「でこぼこの社会人人生」と言いました。

僕はここで左遷されます。順風満帆だと思いきや、人生はわからないもので…。

ーー次回につづきます。


営業戦略の立案からカルチャー作り、カスタマーサクセスの手法までをカバーした一連の記事をマガジンにまとめています。よかったら読んでみてください。

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