BtoBマーケティングで最重要! 問い合わせを増やすためにやるべきウェブサイト改善
これまで3回にわたって、BtoBマーケティングの戦略の立て方から、人員配置のコツ、そして施策の手始めとして「名刺」の重要性について書いてきました。
ここからは一般的なBtoBマーケティング施策について具体的な事例とともに紹介・解説していきたいと思います。
今回は僕のところに来る問い合わせの中でもかなりの割合を占める「ウェブサイト改善」について。
BtoB企業の多くは「本当にほしいウェブサイト」をつくっていない
初期の問い合わせでよくあるのが、「うちのホームページを見てどう思います?」「改善点はありますか?」というものです。これでいいのか、改善点はないのか、不安な方が多いようです。
それもそのはずで、BtoBマーケティングにおいて自社のウェブサイトというものは、言うまでもなく最重要のコンテンツだからです。
海外では「セルフ・エデュケーション・バイヤー」(自ら学ぶ買い手)などと言われますが、BtoB商材の場合、7割近くのお客さんは営業と商談をする前に一通りの情報収集を終えている、というのが定説です。
考えてみると、たしかにそうですよね。日常生活に置き換えてみても、保険や車や家みたいな高額な商品は自分でもある程度調べてから、問い合わせをしたり、話を聞いたりしますよね。
同じように比較的高額なBtoB商材もまさにそのプロセスに則っているので、ちゃんとしたウェブサイトがないのは商品・サービスが存在していないのと一緒です。検討のテーブルにすら乗っていないわけです。
要は7割のお客さんは購入をする前からすでにあなたのウェブサイトを見にきていますよ、ということです。企業のウェブサイトは営業担当の代わりに24時間働いてくれる存在になるので、とんでもなく重要です。
だからまず「うちのウェブサイト、どうですか?」と聞かれるわけですね。
「リニューアルを検討しているけど方向性が…」という相談もよくいただきます。ただ詳しく話を伺うと、見た目がきれいでかっこいいだけのホームページをつくろうとしている会社がほとんどなのです。
たしかに気持ちはわかりますし、実際にモックを見ると「たしかにすごくイケているな」「かっこいいな」と思えるようなホームページです。
でもちょっと待ってください。
今回、ホームページをリニューアルする目的はそもそも何なんでしょうか。それを聞いてみると、どの会社さんもこう答えます。
「ここから問い合わせにつなげたいんです」
ここに最大の矛盾が見られますね。「問い合わせにつなげたい」という目的と、「かっこよくてきれいなホームページをつくる」という手段はイコールではないというか、まったく方向性が違います。
たとえば、採用目的のホームページと商品をPRする目的のホームページって、つくりやデザインが全然違いますよね。
多くの会社は商品やサービスをPRしたいのに、採用目的のようなブランディング視点のウェブサイトをつくりがちです。
自社サイトのトップページがまるでECサイトみたいな会社
わかりやすい事例を挙げましょう。これはオムロンのウェブサイトですが、いわゆる上場会社らしい、清潔感のあるデザイン・構成になっています。
オムロンくらいの会社規模になると、「構成銘柄に7年連続で選定」「論文が採用されました」というふうに、会社のことを全般的に話すようなつくりのウェブサイトになることが多いわけです。
オムロンのウェブサイトはBtoBのホームページ大賞もよく取っていますし、つくり方としてもバランス良くできていて、1つのベンチマークになるようなサイトです。
では競合のキーエンスという会社のウェブサイトがどうなっているか。こちらです。
これはこれで潔いですよね。トップページから商品群が並ぶ、まるでECサイトです。キーエンスのウェブサイトは、「とにかく問い合わせを増やす」という目的に特化しているわけです。
多くの会社さんに「ウェブサイトを改修する目的はなんですか?」とお聞きすると、皆さん「問い合わせを増やすことです」とお話されます。でも作り直しているうちにだんだんと「かっこいい」「きれい」といった方向にいってしまう。
本当に問い合わせがほしいのであれば、見せ方としてはキーエンスくらいに振り切るか、あるいはそこまでいかなくとも、目的をちゃんと意識した構成にしないといけないわけです。
社員が数千人いるキーエンスくらいの規模で、あのようなウェブサイトを作っている会社は他にないでしょう。
でも同じようなことを意識している会社はたくさんあります。
社名=プロダクトなSaaS企業のウェブサイト
たとえば単体のプロダクトを押している、特に最近のBtoB向けSaaS製品の会社。つまり、社名=プロダクトみたいな会社はうまくできています。
たとえばSmartHRは自社サイトがそのまま主力製品の「SmartHR」の製品サイトみたいになっています。
そして、業務効率化のSaaS「カミナシ」を提供するカミナシも、自社のトップページが完全に製品サイトになっています。
これらがちゃんと問い合わせを取りに行っているウェブサイトです。
SmartHRやカミナシと同じように主力の単一商品を提供しているのに、オムロンのような総花的なウェブサイトになっていると、少しもったいない、という話になってくるわけです。
ただ、どうしてもそうなってしまいがちというか、これがけっこう難しい。商品もPRしたいし、問い合わせもほしいけど、人材募集もしたいという会社が多いからです。
その場合はどう割り切るかです。「いい人を採用したい」という目的があったとしても、業界経験の豊富な中途を数人採りたいということであれば、「まずプロダクトをプッシュしたほうが売上げも上がるだろうし、採用は別の方法で何とかする」という決断もできます。
採用目的でいうと、メルカリが立ち上げた「mercan」のような“企業のなかのひと”を取り上げるオウンドメディアを別途立ち上げるのもひとつの手です。
メルカリは採用にかなり力を入れている会社ですが、サービスサイトのトップページは出品物やカテゴリ情報が並んでいて、採用文脈はありません。ウェブサイトの目的をはっきりと決めていますね。
一番良くないのは、トップページに採用と広報と商品説明を欲張って全部入れてしまうこと。混ぜてしまうとコンテンツの刺さり方が全然違います。
というわけで、
ほとんどのBtoBの会社の場合、「問い合わせがほしい」ことがウェブサイトの主目的としてあるはずです。
見込み客がサイトに来たとして、ちゃんと問い合わせをしたくなるようなページになっているかを考えましょう。
すごくシンプルなことに聞こえますけれど、ほとんどの会社がなかなかできていないのが現状です。
次回は「コンテンツマーケティング」がテーマです。効果的なコンテンツの作り方について解説します。
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