5月の「私たちの知らない世界。」のテーマはヤングケアラーについて。
家族の世話や介護、身の回りのサポートを行っている18歳未満の子どもたちが、その状況に至った理由や、現状について、ヤングケアラーの支援を行っているお二人に話題提供をいただきました。
お一人目は一般社団法人ヤングケアラー協会の小林鮎奈さんからご自身の経験もご紹介して頂きつつ、ヤングケアラーの現状と課題について話題提供していただきました。
日本でヤングケアラーの法令上の定義はまだない
家族の体の病気や心の病気など、様々な理由で家族のケアをしているヤングケアラーがたくさんいます。厚生労働省の調査では、クラスに1~2人がヤングケアラーという実態が分かりました。ヤングケアラーは日常的に行っている家事や家族の世話などにより、友だちと遊びに行ったり、進学を諦めたり、将来の夢を描くことが難しい現状があります。
ヤングケアラーが増えている背景には、人口構造、家族形態の変化に加え、雇用・労働状況、社会福祉制度の仕組みなどがあります。
ヤングケアラーがいいとか悪いとかではなくて、普通に起こることなのだと思います。
ヤングケアラーは18歳未満の子どもと定義されていますが、18歳を超えた瞬間に悩みが消えるわけではなく、ケアが終わるわけでもなく、状況が変化しながら続いていきます。
支援の緊急度が高いケースは支援に繋がることもありますが、支援の緊急度が低くて、なんとなくモヤモヤする、少しつらいけど、つらさが出せないという人、自分では我慢できる程度と言ってる人たちの支援をしていきたいと思っています。
家族会で研究した学校への相談歴のデータを見ると、学校へ相談したことがなかったという割合が、小学生9割、中学生、8割、高校生8割。誰に助けられたか?という質問には「近所の人」と答えた子どもが多くいました。
ヤングケアラーの周りにたくさんの支援の糸をたらしていこう
ヤングケアラーの周りにいろんな支援が存在して、ヤングケアラー自身が必要な時に必要な支援を選択できる状態になるといいと考えています。
お二人目はNPO法人アスイクの森川ゆとりさんに仙台市内のヤングケアラーの現状と取組みについて話題提供をいただきました。
仙台市内のヤングケアラーの現状と取り組み
オンラインイベントでは、ヤングケアラーのリアルな声が聞けました。
支援の課題は、利用者のつながりにくさがあります。
TwitterでのDM相談件数が昨年度は年間1件、イベントの参加者数も伸び悩んでいます。
これからも子どもたちにより支援を届けたいと思っており、いろいろなアイデアやご意見を募集しています!
NPO法人アスイクでピアサポーターとして活動している天野茉莉さんにもお話をお伺いしました。
アスイクの利用者として話を聞いてもらえたというのが当時すごく嬉しかったです。
アスイクでは子どもたちの“いま”を支え続ける味方をひとりでも多く増やしたいと考えています。
当日の質疑応答についてもいくつかご紹介します。
幼い頃の小林さんにどのような支援があったらよかったと今思いますか?
DM1件について、どうして?という仮説はありますか?
さいごに、今回のヤングケアラーのちらしにある黄色のふわふわのハートを抱きながら泣いている子のイラストについて紹介します。
さて、次回の「私たちの知らない世界~教育機会を十分に受けられなかった人たちのこと~」のお知らせです。
教育機会を十分に受けられなかったおとなの人たちの現状やその状況に至った理由、支援と取組みの現状を「仙台自主夜間中学」の実例や「自立を目指す女性のための“学び直し”を通したキャリア支援事業」を通してお聞きし、それぞれの立場で何が出来るか考えます。
「私たちの知らない世界~教育機会を十分に受けられなかった人たちのこと~」
日 時:2023年6月15日(木) 19:00~20:30
話題提供:園田淳子さん(仙台自主夜間中学)
畠山明さん (個別教室のアップル代表)
対 象:興味のある方、どなたでも参加できます。みなさん意見交換に参加いただきます。
参加費:無料
会 場:仙台市市民活動サポートセンター 6階セミナーホール、オンライン会場(Zoom)
定 員:30名(Zoom会場は定員制限なし)
申込み:フォームからお申込み下さい
2023/6/15セッション申込フォーム (google.com)