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出雲の糸撚魚|記憶に残るひと皿

戸隠で蕎麦を食べたあの日
次の目的地に決めた島根県の出雲市。

どこか土井善晴さんのような雰囲気の店主と
目配りと気配りが抜群のおかみさん夫婦で営む小さなお店
久鶴(ひさづ)さんにお邪魔した。

料理は刺身、焼き、揚げ、米と汁。
地元漁師から仕入れたその日の魚を
店主と相談して決めていく渋好みのスタイル。

日本酒は地元の酒蔵、
旭日酒造か富士酒造しか置いていない。
この潔さが、またカッコイイ。

ちょうど予約時間までの街ぶらで
旭日酒造の酒蔵に寄って食前酒を味わったので
食事には富士酒造の出雲富士(純米吟醸)を選択。

酒蔵で6種類を試飲して八千矛の純米吟醸をお土産に購入|筆者撮影(2024年4月)


さてこの日いただいたのは、

1. 昆布締めの白身と明太
2. 鯵のたたき
3. 糸撚魚(イトヨリ)の塩焼き
4. 甘鯛の唐揚げ
5. お吸いもの

食べたい魚と調理法を相談しつつ
ひと皿ずつ料理とお酒をちびちびやりはじめたものの
「おっ!(君よく)食べれるね」と店主に見抜かれてしまい
気がつけばフルラインナップ。

この雰囲気をひとりでたのしめる年頃になってきた|筆者撮影(2024年4月)


観光客には「のどぐろ」も事前予約で提供しているが
やはりプロの目利きで、その日いちばんの魚が食べたい…

そんな食いしん坊の右斜め上を泳いだのが
この糸撚魚の塩焼きだ。

串打ちの技と器のセンスも素晴らしい|筆者撮影(2024年4月)


地元漁師の一本釣りで
丁寧に締められたものだけを仕入れ。
さらに店主が綺麗に処理しているのがわかる
まっしろな白身。

美しい所作で、緩急をつけた塩うち。
中はふわっと、外はパリッと、仕上げる焼き。
お客さんと話をしたり他の作業をしていても
店主の耳はベストな焼き上がりを見逃さない。

ひと切れ口に含むと
ひろがるあまくていい香り。
おいしい空気の層を味わっているような
丁寧な仕事の積み重ねが結晶化した糸撚魚。

食べたあとの頭と骨は
おかみさんがお椀に入れてくれて
締めのお吸いものに再登場するのも嬉しい。

揚げの仕上がりも流石の職人技|筆者撮影(2024年4月)


それなりのサイズ感だったのに
ペロリと食べてしまった僕を見た店主の
甘鯛を揚げても美味いよ、という誘いに即答。

ここからは熱燗にして
サクサク!ふわふわ!沁みる〜!の無限ループ。
おいしすぎて頭も骨も食べてしまった。

おなかいっぱいになったところで
さきほどの糸撚魚のアラの出汁が効いた
締めのお吸いものでほっこり。

少しドキドキする時価も
魚種とサイズごとに教えてくれるので安心。
お会計はビックリの良心価格でした。

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