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カンボジアでプラネタリウムドームを作ろう!『SocialCompass活動レポート0004』

2017年度のTOYOTA財団の国際助成プログラムの助成対象に選ばれた。

JICAと共に行ったEcoCityProjectの第二弾のようなプロジェクトを想定して申請を出したのだ。2カ国間に跨る事業という制約があったため、カンボジアとミャンマーと選ぶ。なぜなら、カンボジアと同じような経済発展を遂げているミャンマーも、カンボジアと似た問題を孕んでいると思ったからだ。

TOYOTA財団の国際助成プログラムの予算内には、ミャンマー現地での視察予算も入っており、ミャンマー最大の都市ヤンゴンへも何度も訪問した。

やはり、ヤンゴン郊外も街角にもカンボジアと同じように大量のゴミが落ちており、2カ国とも環境問題は同じような状況であった。そして、現地のアーティストや環境活動家との交流し話を聞く。

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このプロジェクトは、我々がミャンマーへ進出してみたかったから立ち上げたと言っても過言ではないかもしれない。当時は、カンボジアの次に魅力的な未開のフロンティアはミャンマーだと言われていた。

そして実際ミャンマーへ来てみると、その可能性の大きさや、ミャンマーの魅力をたくさん知ることになる。その魅力を大きく占めるのが、ビルマ人の人柄だ。

ミャンマーは外国からの支援に乏しいので、自助コミュニティが発達している。カンボジアだと支援慣れしすぎていて、全てが受け身なのだが、ミャンマーは自分たちで解決しようというマインドが強い。そして、仏教徒の彼らは心身深く、寄付文化や支援の文化が根付いている。ゴミ拾い活動などの環境問題のイベントを開いたら、興味を持ってくれる方も多そうであった。

特にヤンゴンのダウンタウン地区には、大量ゴミが溜まっていた裏路地を環境整備をして、公園にしている場所がある。そこには、華やなグラフィティーがたくさんあり、とても素晴らしいアートな地区になっている。元々はゴミで埋まっていた場所がすっかり、オシャレエリアになっているのだ。

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しかし当たり前なのだが、EcoCityProjectで使用したような地下施設はヤンゴンには存在しない。

どこかに、プロジェクションマッピングのようなイベントができる場所ないかと思案する。そこで思い出したのが、NPO法人フィールドアシスタントの代表で、極地建築家・村上祐資さんがネパールで制作していた移動式ドーム型のテントだった。

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ネパールの震災後の現地支援で制作していたこのテントは、小さくたたんで持ち運びができると聞いていた。そこで、ミャンマーやカンボジアに持ってきて、プラネタリウムのようなプロジェクションマッピングができるのではないかと考えたのだ。

極地建築家・村上祐資さんとは、大学時代にバックパッカーをしていた際にドイツのベルリンで知り合った。お互い旅行中で仲良くなり、ビールを飲みながら色々な話を聞かせてもらう。宇宙の建築を研究していた村上さんの話はとても刺激的で面白かった。大学卒業後、私が就職で渡英すると、帰国の度に村上さんのご自宅に泊めさせて貰いお世話になる。そして私が日本へ本帰国すると、今度は彼は南極越冬隊に入り数年間、南極へ行くことになる。いつも刺激を貰い、視野を広くしてくれる先輩。そして、結婚式の友人代表のスピーチでも挨拶をしてもらったほどお世話になっている友人だ。

村上さんに相談したところ、どうせならば日本から持って行くのではなく、カンボジアやミャンマーの現地で手に入るものでドームを作ろう、という話になった。

2018年6月、そこで実際にカンボジアとミャンマーの現地にも来てもらい、手に入りそうな素材がないか探して回ることになる。

そこで目星をつけたのが、配電管やゴムホースだ。

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最初、村上さんにヤンゴンの道端でこのホースでドームを作ろうと言われた時は、全く想像がつかなかった。そして実際に、サンプルとして作ってみたのが下の小型ドーム模型だ。

まさになるほど、である。

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プノンペンへ戻り、色々とプロトタイプや実験を積み重ねる。そして、実際に実寸大の大型ドームも作ってみることになった。

プノンペン市内にある排水管や配電管、ゴムホースが売っているお店を周り、大量の材料を購入する。まさか、この材料でプラネタリムのドームを作るとは、店員も想像だにしないであろう。

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大量の配電管を購入し、トゥクトゥクに積み込む。カンボジアはこういったちょっと無理があることでも、当たり前のように対応してくれるところが魅力だ。因みに、購入した配電管は一本80円。100本近く購入した。

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左からSocialCompassの貝塚乃梨子、中村英誉、JessyAn、Heng Kakada、村上祐資さん。電動ノコギリを使い、一本80円の配電管を指定のサイズに切り分ける。

村上さんの綿密の設計のおかげで、見事にたった5人でサンプルの実寸大ドームを1日で作り上げることができた。

そして、カンボジアの得意分野の縫製だ。弊社スタッフのお姉さんの力を借りて、最後の仕上げでスクリーンを縫ってもらう。いつもは洋服を作っている彼女に無理を言って作ってもらった。たぶん、何を作っているのか理解していなかったと思う。

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それを踏まえて、3ヶ月後の2018年9月に村上さんに再度プノンペンに来て頂き、プノンペン工科大学建築学科の学生たちへプラネタリウムドームの制作ワークショップをしてもらった。

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プノンペン工科大学での実寸大のドーム型建築の実技などの授業はないので、先生も含めて大変喜んでくれた。2日間に渡るワークショップで、二機のプラネタリウムドームを完成させることができた。

我々にとっても、学生にとってもとても貴重な機会になったと思う。

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このドームを使って、プラネタリウム上映を行うことになる。

つづく。


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