20231230「構えの姿勢で」

想起銃を充填し
いつでも備え
射止める的の獲物
空砲に驚いて
わたしは怯むのだが
辺りは返って静か
深とした空気を吸って
わたしはそれ以外を吐く
冷たい白さで
前も見えないけれども
確かに歩いている感覚は
どこかで上の空
水面から浮き上がる水蒸気
その一粒一粒を狙い
ことばを放つ
文字列の誕生と葬送
塗れる空を掴もうとしている
手に取れないそれは
いつもそこにいるのだろう

大抵は場違いなのだけれど
数をこなせば
接線と補助線を使い
手に取れるような
夢を見る
素早く放射しつつ
緩やかに曲がるその線上で
誰かが歌い
誰かが踊る
円弧を描いた虹の彩
くるくる回って
重心を捉え
そこから手を伸ばしたら
何かを掴めるかもしれない
呟きの螺旋を捻っては
紙縒りの強度を増して
千切れるくらいまで期待する
そして
もうすぐ夜が明けるようだ

なだらかに
たわやかに
わたしの脆さに反し
道具の梃子を使い
仮の反発を以て
付与する存在
描ききれない光景の眼差し
それでも既に充溢している
ただ捉えること
見出す泳法で
息継ぎしつつ後退りするも
勝手に前へと押し出される
追い風強し引っ張られ
あらぬ所へまで移動する
そこでの風景を絡ませ
取り取りの差異を塗し
ことばを細切れにしては
再度集めつつ
放縦さをままに泳いでいる